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若手3人で作った映画会社A24が、10年たらずでアカデミー賞連発。どこが凄いのか

海外マーケットを視野に入れた戦略

 従来、アメリカ映画と言えば、起承転結のはっきりした娯楽映画が中心だった。ハリウッドのメジャー映画会社である5社(パラマウント/ユニバーサル/ソニー/ディズニー・「20世紀フォックス映画」が2019年に傘下に入った/ワーナー)は、『タイタニック』(‘97)の製作費200億円超をはじめ、『アベンジャーズ』(’12~)シリーズなど高い製作費の作品を送り出しているだけではなく、アメリカ国内の興行収入の8割を稼ぎ出している。

 大手5社の製作費の平均は50億円と言われているが、インディーズ映画は同じやり方では太刀打ちできない。そこで、3分の1程度の15億円前後の低予算作品を製作・配給し、アメリカ国内だけではなく、国際映画祭などの海外マーケットでの評価を得ることにより、大手映画会社とは異なる手法でマーケットを開拓してきたのである。

 なお、A24が送り出した『ミナリ』の製作費は約200万ドル(約2億1600万円)、現時点での興行収入は1100万ドル(約12億円)。ハリウッド水準では低予算映画かもしれないが、利益率は高いと評価できる。

 ちなみに、今年のアカデミー賞の作品賞はA24と同じく、低予算で良作を連発するサーチライト・ピクチャーズのクロエ・ジャオ監督『ノマドランド』が受賞したが、同作の製作費は500万ドル(約5億円)、興行収入は現時点で610万ドル(約6億6000万円)である。

ノマドランド

『ノマドランド』(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

 近年の大ヒット作である『ボヘミアン・ラプソディ』の製作費が5000万ドル(約56億円)、全世界での興行収入が2019年5月時点で9億317万ドル(約1008億円)であることを考えると、両作品とも作品のスケールは劣る。しかし、アカデミー賞の受賞で今後の興行収入は伸びていく可能性があることも考えると、収益面からも十分に成功した映画と言えよう。

オリジナル企画で勝負する

ミナリ

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

 A24のHPを見ると、創業3年目の2014年以降は毎年10~20作品を世に送り出している。そしてジャンルも恋愛映画、ヒューマンストーリーなどのいわゆる王道映画に限らず、ホラーからドキュメンタリーと作風は幅広い。

 なぜ、このようなラインナップが可能なのであろうか。それは、原作ありきで巨額の製作費を募り、世界中でヒットさせることを想定して収益を出すハリウッド型と異なり、クリエイターたちが自らの頭で絞り出したオリジナル企画で勝負しているからである

 都度、クリエイター発で映画製作がなされることから、バラエティーに富んでいることはもちろん、時代の空気を反映させた作品になることもヒット作連発の理由であろう。

 また、A24は当時はそれほど有名ではなかった『WAVES/ ウェイブス』のトレイ・エドワード・シュルツ監督、『ミッドサマー』のアリ・アスター監督を起用するなど新人発掘にも力を入れている。すでにある作品を脚本に指定し、キャリアのある監督を起用したほうが売り上げの見込みは立つ。しかし、そこに甘んじることなく、独自の努力をしてきたことが、身を結んでいるのだ

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