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サラリーマンでもできる節税術「支給されない交通費」の取り返し方

コラム

支給額の“差”を埋めるために活用しよう

 フリーランスは、経費などで実際に使用した額を売り上げから差し引くことができますが、給与所得控除は雇われて働いていれば一律にあります。ここで冒頭の通勤交通費の話に戻ります。

 通勤交通費が「会社から全額支給されている人」と、「一部だけしか支給されない、もしくは全く支給されていない人」との間に残った不公平な“差”。この会社から支給されなかった通勤交通費を、税金で取り戻す方法が「特定支出控除」です。「給与所得控除の額のプラスアルファ」と考えるとイメージしやすいですしょうか?

 特定支出控除の対象となるのは、会社から支給されない通勤交通費の他に、出張時に要した旅費や単身赴任の帰宅旅費(いずれも会社から支給されないことが前提)などを含めて、7項目あります(ただ今回はそこには詳しく踏み込みません)。

Aさんの特定支出控除を計算

電卓

画像はイメージです(以下同じ)

 例えば、下記のような、1か月の定期代を自腹を切っている会社員Aさんがいたとします。その場合、特定支出控除の金額がいくらになるのか計算してみようと思います。

【Aさんの収入と交通費】
ボーナス:ゼロ
月給:330,000円
年間の収入は330,000円×12か月=3,960,000円

通勤交通費:70,000円(1か月の定期代、会社から支給なし)
年間の交通費は70,000円×12か月=840,000円

 まず、給与所得控除の額を計算します。年間の収入が396万円ですから、先述した給与所得控除の割合を踏まえて、収入金額×20%に44万円を加えます。

【給与所得控除】
3,960,000円×20%+440,000円=1,232,000円

 つまり123万2000円が給与所得控除の額です。

 続いて、特定支出控除の額の計算です。給与所得控除の額の2分の1を超える額が、特定支出控除の対象となります。

【特定支出控除の対象】
1,232,000円×1/2=616,000円

 という計算で、61万6000円を超える額が特定支出控除の対象です。

 年間の交通費が84万円ですので、給与所得控除の2分の1の額、61万6000円を差し引いた22万4000円が特定支出控除の額になります。

【特定支出控除】
840,000円―616,000円=224,000円

 給与所得控除の額と特定支出控除の額の合計が、「雇われて働いている」Aさんの年間の収入から差し引くことができる額になります。

1,232,000円+224,000円=1,456,000円

 たとえばAさんは出張時に要した旅費や単身赴任の帰宅旅費をここで収入から差し引くことができます。差し引ける額が大きくなれば、所得税を減らせて節税になります。つまり、通勤交通費が支給されない人は、その分、お金を取り戻すことができるのです。

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