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お荷物社員から外資系管理職→起業家に。ストレス対策に「鋼のメンタルは必要ない」

ビジネス

心の課題と向き合い認知行動療法と出会う

絶望

 不幸中の幸いにも、なんとか社内の管理部門に異動することができ、リストラを回避することに成功。精神的にも久しぶりに安定した時期を迎え、初めてカウンセリングを受診するなど、心の課題と向き合い始めた。その中で認知行動療法と出会ったことが、徳政さんの転機になった

「認知行動療法では、ストレスを感じる出来事をどう認知するかが、感情や行動、身体反応まで大きな影響を及ぼしていると考えます。このモデルに沿って、認知と行動を変えることによって、ストレスにうまく対処する力を身につけていくことを目指す心理療法が認知行動療法となります

 例えば、仕事で翌朝までに資料を作成しなければならないのに、夕方になっても全く進んでいなかったとします。そこで『もう、おしまいだ……』と“認知”すると、不安や焦りなどの“感情”が生まれ、ネットサーフィンやSNSに現実逃避する“行動”をしてしまったり、心臓の鼓動が止まらないといった“身体反応”が生じたりします。

 そして、そのまま仕事が進まず『本当におしまいだ!』とさらに絶望して負のループにはまりこんでしまうんです」

お荷物社員から大手外資系アドビに転職

 認知行動療法はこうした悩みがちな“クセ”を持った人の傾向を改善していくことに有効なようだ。ここで重要なのが、感情や身体反応は容易にはコントロールできないが、認知と行動は変えられるということだ。

「例えば、『まだ朝まで時間があるな』と別の視点から考えてみたり、『手のつけやすいところからはじめてみよう』と行動してみることで、『なんとかなるかも』と気持ちが楽になってうまく対応できたりしますよね。認知行動療法のカウンセリングでは、これを一人でできるようになることを目指します

 こうしてカウンセリングのおかげでネガティブになりがちな“クセ”を克服。その結果、仕事も劇的にうまくいくようになり、リストラ寸前のお荷物社員から管理職に昇進。2015年には大手外資系ソフトウェア会社であるアドビに転職し、経営企画本部長を務めるなどステップアップを果たした。そして、組織運用と経営に携わったことで、将来的な起業も視野に入れるようになった。

「2015年頃からアドビの経営管理で得た経験や知見を書き残しておこうと、ツイッターを再開し、ブログも本格的に始めました。すると思いがけずバズってツイッターのフォロワーは1万人を超え、ブログも多くの人に読んでもらえるようになりました。この時に考えたのが、自分が長い間『不安』に苦しみ、それを克服した話もニーズがあるのではということ。試しに発信してみたところ、大きな反響をもらいました。

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