菅首相長男の接待報道、文春にタダ乗りする他メディアの情けなさ
権力の監視能力に欠陥がある
さらに日本の場合はクロスオーナーシップという制度により、新聞とテレビが同じグループ会社です。これは田中角栄時代にねじれが整理されたとも言われているんですが、クロスオーナーシップによりテレビを押さえることによって、同時に新聞も押さえることができてしまうと。
つまり大手メディアは、実はクロスオーナーシップという制度と放送の許諾を政府が握っているという点において「すでに権力の監視能力に関しては著しく欠陥があるのではないか」という日本社会における前提が、今回の件で明らかになってきました。
だから、衛星チャンネルを持っている東北新社が総務省を接待する構図ができてきます。3月1日に辞任した山田真貴子前内閣広報官が、総務省の審議官だった時代に高額な接待を受けていたと言われているんですが、なぜかというと、放送免許の許諾権利を政府が持っているからというのがスタートなんですよね。山田氏は審議官の前に放送行政のトップである情報流通行政局長の任に就いてます。
さらにいうと、放送の許諾権を政府が持っている中で、東北新社に当時の官房長官の息子が就職しているという事実が、どういう意味を持つのかというのは非常に重要になってきます。度重なる接待が行われていた背景も、そこらへんに理由があるわけで、これをテレビや新聞がどれだけちゃんと報じられるかっていうと、実はあまりそこに触れた報道ができていないという現状があります。
なぜなら、自分たちの首に縄をつけられた状態で言えることといったら、限られてくるからです。ここで踏み込んだ記事が次々と出てきたら日本のメディア空間も変わるでしょう。
<TEXT/ダースレイダー 構成/bizSPA!取材班 撮影/山口康仁>