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不動産で騙されないための心構えは? 業界のプロが語り合う/夏原武×全宅ツイ

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全宅ツイが「高円寺に物件」を購入したワケ

――『正直不動産』は中央線沿線が舞台です。中央線といえば、全宅ツイは高円寺で飲食店をはじめるそうですね。

全宅ツイ

(C)大谷アキラ・夏原武・水野光博 / 小学館「ビッグコミック」連載中

夏原:中央線沿線は特徴があって、中野や高円寺、阿佐ヶ谷とか人気の街も多いから話が作りやすい。以前、吉祥寺の井の頭公園の近くに住んでたことがあるけど、春の花見シーズンになると、人通りが増えて、ゴミとか騒音がスゴくて、ムカついていたね(笑)。

かずお:全宅ツイも、高円寺で「酒チャンス」という立ち飲み屋を開業します。ノリでプロジェクトを始めたら誰も止める人がいなかった。全員が不動産のプロだから、洒落で書いた図面を手にして、地主に飛び込んで、口説き落として、店のオペレーション決める人までゲラゲラ笑いながら進めていたら、何だかお店ができそうになっている状態です。

どエンド:みんながそれぞれのプロだから、冗談のつもりがどこでも止まらずにずっと進んでっちゃう。普通ならどこかで頓挫するはずなのに、全部乗り越えちゃうというね。

夏原:途中まで冗談なのかと思っていたよ。地鎮祭の映像もシュールだったね。細長く狭い、奥行き1メートルくらいだから、神主が敷地からはみ出して、歩道に立っている。今後、漫画で高円寺が出てきたら、主人公の永瀬(財地)が薄い店の前を歩いているシーンもあるかもしれません。

グル:いいですね(笑)。

夏原:ちゃんとした能力ある大人が集まって悪ふざけすると、スゴいことになるんだなって。開店が楽しみです。絶対に行く。

かずお:先生に来られると一般のお客さんが近寄りがたくなっちゃうんで(笑)。お気持ちはお祝い金でいただければ十分です(笑)。

『正直不動産』はあくまでエンタメ

全宅ツイ

全宅ツイメンバーのかずお君

夏原:僕は『正直不動産』で、不動産業界のいろいろなことを取り上げてきたけど、それは別に業界の悪を暴くとかではなくて、あくまでエンターテインメントであって、それで多少の知識がついたら良いですねという。別にハウツー本でもないし、啓蒙しているわけでもない。

グル:どこかの評論家のような「正しい不動産業界にしたろ!」みたいな説教臭さがなくて、そこがいいところですよね(笑)。

――『正直不動産』の今後のメディア展開は?

夏原:映像化に関するオファーはいろいろ来ていて、進行中だと聞いている。ただ、大手不動産会社って、テレビ局の大広告主だからいろいろ大変な部分もあるだろうね(笑)。でも、“正直な”不動産営業がテーマなんだから、まっとうな不動産会社は嫌がる必要ないのにな。

かずお:実は僕らがやっている「クソ物件オブザイヤー」もテレビ局から取材の申し込みが複数来たけど、過激な企業ネタがあるとうまく実現しないですね、テレビのスポンサーだから。「面白間取りだけでお願いします!」ってなっちゃう。

――夏原さんはドラマ『クロサギ』にも出演されてましたが、もしドラマ版『正直不動産』に出演するとしたら?

夏原:そんなの考えたこともないよ(笑)。悪い役がやりたいかな。ライバル会社のミネルヴァ不動産で捨て看板をバラまくような。

――最後に全宅ツイの今後の展開も教えてください。

かずお:年明けに「酒チャンス」の着工があって、2月末には完成します。3月中旬にはオープンできるように準備を進めています。

グル:それと本出したいよね。

かずお:そうですね、来年にも1冊は出したいですね。「クソ物件オブザイヤー」のまとめ本を2~3年に一度は出せたらと思っているので、まずは小学館さんぜひお願いします!(笑)。

<取材・文/栗林篤>

【夏原武】
作家・漫画原作者。1959年千葉県生まれ。詐欺や裏社会を取材するフリーのルポライターの経験を基に、2003年から漫画『クロサギ』の原案を担当。2017年より『正直不動産』原案を担当。原案・原作に『新クロサギ』『任侠転生-異世界のヤクザ姫』『合同会社・正義屋』など

【全宅ツイ】
専業大家からブローカーまで、ツイッター上に生息する不動産業界関係者によって構成される異端のプロ集団。不動産業界の面白物件やニュースに登場した不動産などを集めた『クソ物件オブザイヤー』を毎年開催。著書に『業界で噂の劇薬裏技集 不動産大技林』『クソ物件オブザイヤー』(ともにベストセラーズ)など

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)」は、数百億円の不動産を取引する不動産ファンドのAMrからルノアールにたむろする無免許ブローカーまでを会員に擁する、その保有資産、預り資産、グリップ資産の合計が2兆円を超える不動産Twitter最大の業界団体です
公式キャラクター・グリップ君Twitter:@kuso_bukken

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