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ロシア生まれの元モデルが「日本で芸能事務所社長」になるまで

ビジネス

 コロナ禍で多くの企業が業績不振にあえいでいる。そんななかでも、攻めの姿勢で事業を進める女性社長がいる。ロシアのハバロフスクに生まれたアンナ・エルショワさん(32歳)は現在、外国人モデル・ハーフモデルなどを中心にマネージメントを手がける東京のモデルエージェンシー株式会社aNmoda(aNmoda Co.,Ltd)代表取締役を務めている。

エルショワ

株式会社aNmoda(aNmoda Co.,Ltd)代表取締役アンナ・エルショワさん

 大学生のときに1年間限定の交換留学で来日。本人曰く「日本にハマってしまった」ことで大学卒業後に起業し、今も日本で暮らしている。「LEON」「FUDGE」「HONEY」「CLUEL」といった有名ファッション誌から、SONY、TOYOTAやユニクロなどのグローバル企業ともビジネスを行う彼女に、若いビジネスマンのための仕事の心得を聞いた。

ロシアから日本にやってきた理由

――そもそも日本に興味を持つようになったきっかけは?

アンナ・エルショワ(以下、アンナ):大学で日本への留学プログラムを見つけて、1年限定で新潟経営大学に留学したんです。もともと子供の頃から日本の文化に興味があり、いつか住んでみたいとも思っていて。留学でやっぱり気に入ってしまい、1年後に新潟経営大学に転入して今に至ります。

――日本の文化に興味があった理由は?

アンナ:父親が船長だったので、海外の文化が身近にあって、和食や寿司など日本の食文化も好きでした。ロシアでは生魚は食べないので、それも新鮮でした。日本人の性格も、自分にあっていると思っていて。「この服似合ってないよ」みたいに、外国人はストレートな物言いをしますが、日本人は相手のことを考えて発言する。私も、はっきりものを言えないのですごくいいと思います(笑)。

――会社経営を決めたのはなぜでしょうか。

アンナ:一番大きかったのは、母親も会社を経営していたことです。ロシアに帰って起業することも考えましたが、せっかく日本で会計や経営の勉強をしたので、この知識と経験をもとにできればと。

アパレルの会社を立ち上げて挫折も

エルショワ

職場で作業しているアンナさん

――大学を卒業してから、すぐに起業せず、しばらくはモデルとして活躍しています。

アンナ:大学卒業後、3年間、東京の事務所でモデルの仕事をしていました。正直、年収も普通のサラリーマンよりよかったです(笑)。でも、モデルって世界はシビアで、一昔前なら20代半ばでキャリアハイで、ほとんどの人が演技やMCなどのスキルを学んでセカンドキャリアを探しています。今なら30歳でもモデルを続けている人もいますが、それは選ばれたごく一部です。私も20代になって、モデル仕事にも達成感があったので、次の道として起業を選びました。

――最初からエージェンシー会社をやろうとしたのですか。

アンナ:最初は、アパレルの会社を立ち上げました。2015年、世界から注目を集めていた「岡山デニム」のブランドでした。ヒカリエでポップアップストアを展開して、周りからも「うまくいっているね」と言われたのですが、実際はそこまで数字になっていなかった。好きだけど、このままではいけないと経営者としての判断をしました。

――今のモデル事務所は招聘外国人のモデル事務所ですね(※外国人モデル事務所は、海外から短期間モデルを来日させる招聘(しょうへい)型と、日本に住む外国人が所属する在日モデル事務所がある)。

アンナ:私の会社は、外国のモデル事務所とのコネクションを活かして、ハイファッション向けのモデルを探して約3か月来日してもらいます。その間、いろいろな資料を作って、媒体社にプロモーションかけて宣伝します。滞在にかかる経費は自社で負担します。10代から20代前半の若いモデルが多く、一人でロシアから来た14歳のモデルもいました。

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