30歳になる前に…上司に「見込みあるな」と思わせる働き方のコツ
働き方改革や新型コロナショックを契機として、我々の働く環境が大きく変わろうしています。とはいえ、職場を見渡せば、自分のことしか考えない協調性ゼロの同僚、プライドだけ高くて仕事しない上司など、程度の差はあるものの厄介な人たちが生息しているものです。
これまで「50代・バブル世代」「ロスジェネ世代」「20代・ゆとり世代」との付き合い方について連載で述べてきましたが、今回は20~30代のビジネスマンが自らのキャリアを考えるときのポイントについて説明したいと思います。早速、ある中堅メーカー営業3課のメンバー(浅野課長、山本君)と考えていきましょう。
いきなりキャリアを考えろと言われても…
今日は、浅野課長との月1回の1on1ミーティングの日です。上司と部下が1対1の対面で日常の仕事や組織などについてざっくばらんに意見交換を行います。人材教育の一環として今年から始まった試みですが、コロナ禍で強制的にテレワークに突入し、4月からストップしていましたが、Web会議システムで1on1ミーティングを再開することになりました。
ですが、山本君にとってはちょっと憂鬱な時間です。担当する業務の進捗の報告や確認はせいぜい15分くらいですが、その後は雑談のような感じで、上司の成功体験が披露され、なんか自慢話に付き合わされているようで、無駄な時間のように思えるのでした。
「コロナの影響でしばらくミーティングやってなかったけど、最近どんな感じ? なにかある?」という浅野課長の問いかけに、山本君は、「いえ、特にありません(早く終わんないかな)」とそっけない返答です。しかし、今日の浅野課長はいつもと少し違い絡んできます。
「君も、もう課の中でも中堅社員という位置づけなんだから、若手の手本になってもらいたいんだよね。20代のキャリアを振り返ってみて、何か思うことない?」
「キャリアですか?」
20代はキャリアより自己研鑽
文科省、厚労省が先日発表した2020年3月卒の大卒就職率は98%で、調査開始以来最高値を更新しました(来年はコロナの影響が出るので厳しそうですが)。最低だった2011年ですら、91%でしたので、選ばなければほとんどの就活生は就職できるのが日本の社会です。若年層の失業率が高い諸外国と比べて、恵まれた環境と言えるでしょう。
最初は実務的にはほとんど何もできない状況から同期たちとは横一線で職業人生がスタートしますが、多くの20代の働き方は次のようなものではないでしょうか。
① 目の前の仕事を精一杯やる
実務能力ゼロから始まるので、とにかく与えられた仕事をなんとかやり切る。最初のうちはできなくて当然という前提があるので、仕事に取り組む姿勢が評価されます。そういう姿を見た上司は「こいつ見込みあるな」となる訳で、基礎能力の高さをアピールしても実務が出来ないと意味がありませんでした。
② 組織に慣れる・馴染む
これまでの連載で世代の意識の違いを述べてきましたが、会社組織は様々な年齢、生い立ち、経験を持った人たちが集まり、お互い切磋琢磨、協力し合いながら業務を推進しています。筆者も若いうちは学生時代との差やジェネレーションギャップに戸惑いながらも所属組織に慣れ・馴染む過程で貢献できる人材に成長してきました。
③ 組織・上司の元で仕事をする
部下という立場は、上司の指示に基づいて業務を遂行する訳ですが、20代のうちは、すべて上司の責任の元に行われます。上手くいっても上司や周囲のお膳立てがあったり、親身に指導してもらったからこそ出せた成果であったりするものなので、本人の自力だけとは認められにくいところがあります。それに会社の上層部や部外者も20代で優秀な社員が育ってくると、「いい人材を発掘したな」「良く育てたな」という上司の評価になりがちです。
④ 仕事・学びに全集中してきた?
20代の仕事は「私事(しごと)」です。つまり自分の(成長の)ためにやればよい時期です。会社にとっての20代社員は、「組織に貢献できる人財に早くなってほしいので、とにかく自分の成長のことだけを考えて頑張ってほしい」存在です。余計なことは考えずにひたすら知識を積み上げ、スキルを高め、経験値を上げていくことを期待しています。