サイゼリヤ、利益の源泉は中国依存…快進撃の裏側に迫る
急速な拡大が進み、上海だけで130店舗超
サイゼリヤの海外店舗の利益率が国内店舗よりも高いことがわかりました。利益率が高い事業に対しては、当然ながら積極的に投資を行います。サイゼリヤの海外店舗数を見てみましょう。5年前には計290店舗でしたが、2019年8月には411店舗となっている通り、急速に店舗拡大を進めています。
サイゼリヤが中国に進出したのは2003年。「薩莉亜(サリヤ)」という店名で、まずは上海に、2004年には北京、2007年には広州に現地法人を設立。
上海では133店舗(5年前100店舗)、広州では118店舗(5年前98店舗)と、すでに100店舗超え。最近は北京での出店にも力を入れており、5年前は46店舗でしたが、直近は80店舗となっており、5年前の2倍に迫る勢いの出店ペースです。
日本発海外進出チェーンの先駆けとして市場を開拓
中国で快進撃を続けるサイゼリヤですが、その成功の鍵は「現地の価値観やライフスタイルに合わせたローカライズ政策」にあります。メニューの改変や店舗スタイルの改変にのみならず、様々な面で現地化を進めてきました。
例えば国内では、2019年に一部店舗でようやく取り入れ始められた電子マネーでの支払いですが、中国では2017年に電子マネーでの支払いを導入しています。
また出店政策として、さまざまな店舗基準をこれまでよりも柔軟に設定し、今までにはない新たな立地環境を試したり、店舗デザインをスタイリッシュなものに一新することも功を奏しました。
近年、サイゼリヤの国内事業は高い利益率を望めず、店舗出店数の増加によってのみ、事業規模を拡大ができるというビジネスモデルとなってしまっています。今後のサイゼリヤは、高い利益率と大きな市場性が期待できる国外での日本発海外展開飲食チェーンの先駆けとして、積極的に展開展開していくと考えられます。
※地域別利益分析は、(株)サイゼリヤの各種IR資料に記載された区分で記載しています。本社経費の配賦等の取り扱いは(株)サイゼリヤのIR資料の記載方針に準じます。
※記事に関連するいかなる損失(株式売買などにより生じる損失を含む)について筆者は一切責任を負いません。
<TEXT/小森ほうめい>