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人間の食べ物は“麻薬”。イノシシが街に出没する深すぎる理由とは?

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イノシシだけではない深刻な動物による被害

 今回はイノシシが特集されていましたが、イノシシ以外の動物による被害も大きな問題になっています。農林水産省農村振興局が作成した「鳥獣被害の現状と対策」に概要がまとめられています。

 イノシシ以上に生息が拡大しているのがニホンジカで、北海道を除く本州以南の生息個体数は272万頭(2016年度)となっており、ここ25年間で約10倍も増加しています。ニホンジカによる農作物への被害が55億円(2017年度)にのぼっており、イノシシの被害額を上回っています。

 農林水産省は、農作物被害額を毎年200億円前後で推移していると推定していますが、車両との衝突事故や、住宅地の侵入、下層植生の消失による土壌流出など影響は多岐にわたっており、「被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしている」と報告しています。

 このような深刻な状況を受けて、「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を2013年に策定しています。鳥獣保護法の見直しや規制緩和、捕獲活動の強化、生息環境管理等の施策を併せて推進などを併せ、2023年度までにシカ、イノシシの生息頭数を半減させることを目標としています。

「身に覚えがある問題に驚き」という投稿が多数

口コミ ネット

「こんなにも近くに出没しているとは思わなかった…! きっと、今住んでいるところに出没するのも時間の問題だ」
「この前帰省したときに、家の近所にイノシシが出没するようになったと聞いた。田舎とは言え、一昔前はこんなことなかったのに、本当に怖い」

 ネット上には、身に覚えがあるといった投稿が目立ちました。

 こうした反響を見るにつけ、人間と動物が良い形で共生していく道を模索することは、もはや喫緊の課題といえます。しかし、一朝一夕でどうにかなるわけでもなく、また日本だけでなく、世界中で同様の問題が起きていることからも、解決には多難を極めることが予想されます。

<TEXT/湯浅肇>

写真をメインに数多くの時事ネタやマルチメディア関連の記事も執筆。常に斬新な切り口で情報発信を目指すアラサー男子

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