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裁量労働制で働く20代女性の本音「上司の意識が旧態依然で…」

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業務は社内のみ…メリットが感じられない職場も

残業

 対して、エンジニアの綾さん(仮名・24歳・ウェブデザイン・年収320万)の会社は、裁量労働制を導入していながらも現実とは乖離があるようです。

「うちも勤怠アプリで管理されているものの(定時は9時半~18時半)、みなし残業がひと月40時間に設定されていて、それ以上の残業代は支払われません。

 40時間分の残業代7万円は毎月必ず出るので、仕事の少なかった月はラッキーだけど、60~80時間ほど残業する繁忙期は損した気分が強いです。しかも残業代がなかったら生活が苦しいほどにお給料自体は少ないです」

 “裁量労働制=いくら働いてもお給料が変わらない制度”だと思っていた綾さん。残業代の締め付けだけでなく、働き方への干渉も強いそうです。

「作業は社内のみに限られていて、終電を逃すと“サウナ代出すから”とタクシーで帰らせずに、会社に泊めさせられます。繁忙期は“合宿”と呼ばれるほど。

 社外作業がNGなのは、情報漏えいを防ぐためと言われているものの、ベテラン陣にはノートPCが支給されて外で自由に働いているので、上司の中堅社員たちの不満は大きいです。会社に縛られ、残業代も不十分なので、転職する人は多いですね」

新制度への障壁は、人々の心の中にあった?

 綾さんは、採用面接の時点で裁量労働制だと知らされていましたが、彼女の想像するものとはかけ離れていたようです。

「出/退勤時間が自由だと思っていたのに、午前中までに出社しないと上司に嫌味を言われるし、仕事の少ない日でも定時までは社内にいることを強要されます。これまで定時制で働いてきた上司たちは、その意識が根強く残っているみたいです」

 現状、残業代を含めた収入面では特に不満はないという綾さんですが、「精神的ストレスのため転職を考えている」と言います。

「私は、平日を仕事漬けで終わらせずに、定時後に自分の勉強をしたり、友人と飲みに行ったりと有効活用したいので、いまは『Vorkers』という転職アプリで、ワークライフバランスの評価が高い会社を探しています。雇用制度や福利厚生の恩恵を実際に受けられているのか、という点は要チェック事項ですね」

 会社としては裁量労働制を採用したものの、上層部の意識は旧態依然のよう。制度で人間の気持ちまでは変えられないので、正しく浸透するまではまだ時間がかかりそうです。

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