スーパー地方公務員「くまモン」のまったくゆるくない仕事術
知事の言葉がくまモンの背中を押した
活動を始めた最初の頃は、「くまモングループは素人集団だ」と揶揄されたり、「税金の無駄遣い」だと批難をされたりすることも少なくなかったようです。それでも、くまモンが活動を続けてこられたのは、「蒲島熊本県知事のある言葉があったから」だと言います。
それは「皿を、割れ」と言う言葉。皿をたくさん洗う人は皿を割ることもあるという意味で、最善を尽くそうとした結果、失敗しても仕方がないということだそうです。知事は「責任は私が取りますからね」と言って、くまモンの背中を押しました。
そのような後押しがあったからこそ、くまモン失踪の偽の記者会見を開いたり、よしもと新喜劇とコラボしたり、熊本のみならず全国各地にPRのために出向いたりするなど、自由で新しい戦略を次々に打ち出すことができたのです。
くまモンが学習まんがの伝記シリーズ入り
日本リサーチセンターの「第5回 NRC全国キャラクター調査」によると、ディズニーの「ミッキー&フレンズ」や、ジブリの「となりのトトロ」を押さえて、見事、くまモンが好感度ランキング1位に輝きました。
2016年から好感度ランキング1位をキープしているとのことで、長期間にわたって、多くの人々に愛されていることが伺えます。
また、小学館の発行する伝記まんがシリーズにもくまモンが登場し、「次世代のリーダー」としての奮闘ぶりが描かれています。くまモンの活躍はどこまで拡大していくのでしょうか?
海外へと羽ばたいていく、くまモン
「知事の言葉は名言! こんなこと言ってくれる上司の下で働きたい!」
「くまモンは熊本県民の自慢です!」
「くまモンの一生懸命さが可愛すぎて、映像を見ているだけで笑えてくる」
ネット上では、サービス精神旺盛で、常に応援してくれている人のためを考えるくまモンに対して、多くの称賛の声が寄せられました。
現在では、くまモンは、熊本や日本の範疇を超え、海外へ進出しています。蒲島知事は「くまモンをミッキーのような存在にしたい」と宣言し、海外企業への商品製造・販売の解禁、米国スタジオによるアニメ製作などの新戦略を発表しました。
これについても「熊本ではなく、くまモンだけが海外で有名になっているのでは」などと県議会で反発の声もあります。それに対して、知事は「くまモンの価値を高めることが県全体の経済的、精神的な価値の増大につながる」と答え、変わり続けなければ人気は維持できないという意志を発表。
これからも、くまモンの型破りな活躍が期待できることでしょう。
<TEXT/湯浅肇>