売上ゼロで上場!? 会計士が見た“ヤバいベンチャー社長”列伝<異色対談>
さまざまな企業による不正行為が明らかになった今年。
東京商工リサーチによる最新の調査では2017年度に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は調査開始以来、最多を記録。企業のフェイクを痛快に暴く経済エンタメ小説『特捜投資家』(ダイヤモンド社)などのヒットも生まれています。
今回、会計分野に詳しいアルファツイッタラーのたにやん(@t_taniyan)さん、ボヴ(@cornwallcapital)さんによる初の対談が実現。
世間の経済事件を語った前編、20代のためのキャリア論から、パパ活事情や半グレまで際どく語った中編に続き、最終回となる後編ではSNSとイキリ、若者の起業について語ります。
SNSでの“イキリ”はむしろ歓迎すべき!?
――これまで企業不祥事についてお話してきましたが、企業が盛ると粉飾になるとしたら、個人が盛るとイキリに繋がるのではないでしょうか。
ボヴ:私は職業柄、本当の成功者と多く接する機会も多いですが、「何でここまで違うんや」みたいな気持ちにはなることはありますね。でも、それを虚構で埋めようとすると詐欺と変わらない。
しかもSNSだとテキストと画像だけでそれができてしまうので、結構簡単なんですよね。しかも投稿を見て本気で信じる人も出てきてしまう。すると、調子に乗っちゃう人はいるやろなと思います。
たにやん:SNS騙しの構造は、まさに10年前あたりの株式市場みたいなもので、IRでいかにクソ株を魅力的に見せるか腐心しているとの同じですよね。「東南アジア某国の財閥から数十億円の資金を調達する見込み~」みたいな途方もない話のような。
――小説『特捜投資家』にも「プロ経営者」を名乗る黒崎が登場します。
ボヴ:彼は派手なパフォーマンスだけでのし上がってきたタイプの人間なんですけど、ビジネスの世界でこういう経営者、確かにいるなあと感じましたね。あくまで架空の人物なんですけど、あまりに描写がリアルなのでモデルと思しき人の風評被害にならないかと心配になるくらいです。
会社の金を持ち逃げした“あるCEO”が復活?
――ああいった人物は実在するんですか?
ボヴ:いますよ。良く言えば、カリスマ性があって、大きなビジョンを掲げ、人を惹きつけるものがある。悪く言えば、言ったことをやろうとするのは最初だけ。末期になると、10分後にはわかるような虚言を吐く。忍耐力がなくて最終的に会社の金を持ち逃げするとか。
昔、ある上場会社を乗っ取るようなかたちでCEOになった人物がいて、最終的に会社の金を持ち逃げして表舞台から姿を消したんです。けどその人が最近になって、有名なITコンテンツ制作会社の海外支社CEOになってたのでビックリしましたよ。
たにやん:その人の名前、超久しぶりに聞きました(笑)。
ボヴ:でも、最近またHP見たら、名前が消えていたので何かあったのかもしれません。