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日本経済を下支えする訪日外国人客の増加【やさしいニュースワード解説】

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日本経済を下支えする訪日外国人客の増加【やさしいニュースワード解説】

在京の大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが時事ニュースをやさしく解説。今回は、「日本経済を下支えする訪日外国人客の増加」です。

円安を背景に訪日外国人客数が過去最高を記録

2024年に日本を訪れた訪日外国人客は3,686万9,900人と過去最高を更新しました。前年比47.1%増となり、コロナ禍前の2019年に記録した3,188万人を約500万人上回る記録となりました。観光庁によると、訪日外国人の旅行消費額は8兆1,395億円でした。

国別には、韓国からの訪日数がもっとも多く881万人、次いで中国の698万人、台湾の604万人と続きました。コロナ前の2019年と比較すると、中国からの訪日客は減っているものの、それ以外の国からはおおむね増えています。東アジアのみならず、東南アジア、欧米、豪州、中東からの訪日客を増やしたことが過去最高の更新につながったと日本政府観光局は分析しています。

旅行消費額で最も多かったのは中国で1兆7,335億円、次いで台湾の1兆936億円、韓国の9,632億円という順になりました。一人当たりの支出額は22万7,000円と推計されています。

訪日外国人客の増加の要因の一つは為替相場における円安であり、円はドルやユーロなどの主要通貨や新興国の通貨に対して安くなっています。そうした国々からの旅行は割安感があり、宿泊や買い物、飲食機会の増加などで日本国内での消費が増えることになります。このほか、直行便数の増加やチャーター便を含む地方路線の拡大など利便性の向上や、クルーズ船の寄港なども追い風になっています。

訪日外国人客の増加がもたらす影響と課題

日本政府は2030年に訪日外国人客6,000万人の達成を目指しています。コロナ禍の低迷期を脱し、順調に訪日客数を伸ばした2024年の結果は、目標達成の足がかりになったと評価できますが、一方で課題もあります。コロナ以前から指摘されているように、京都など特定の地域に観光客が集中し、交通渋滞など地域住民の生活に悪影響を与える「オーバーツーリズム」への対策は欠かせません。

さらにこのチャンスを生かし、日本全体で稼ぐ力をつけることも重要です。旅行でお金を落としてくれる訪日外国人客が日本を満喫し、リピーターになってくれるための地域ブランディングの工夫や、富裕層向けの高級サービスを開発するなどの取り組みが必要になってきます。さらに、外国人向けのサービス価格設定を適宜に見直すなど、総合的にアイデアを練り直してしっかりと稼ぐシナリオを作り上げていくことも重要です。

訪日外国人客の増加は国内の関連産業の収益に寄与するだけでなく、日本経済の成長にも影響を与えます。少子高齢化が進む中、景気を下支えするインパクトは大きいため、訪日客の増加を国民の豊かさに結び付けるための戦略が政府や経済界には求められます。

[参考]
インバウンド消費動向調査2024年暦年(速報)及び10-12月期(1次速報)の結果について | 2025年 | 報道発表 | 観光庁
訪日外客数(2024年12月および年間推計値)|報道発表|JNTO(日本政府観光局)

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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