中国系航空会社が大伸長した世界の航空業界。日本とは親子ほどの差が
航空業界では予約、運航、機体、整備、空港など多くのデータを業務に使用しており、IT化が進む一業種です。多くの航空データの中で、注目度が高いもののひとつとして、エアラインの輸送量の指針となるのは、有償旅客キロ(RPK)です。
世界中のエアラインの航空データを集計し、提供する英航空データ分析会社「シリウム(Cirium)」は、毎年輸送力TOP100を発表しています。
RPKとは、運賃を支払って搭乗した旅客数に搭乗距離を乗じた数字で、エアラインの輸送力を示す最適な数字となります。現在得ることのできる最新で2021年分データはパワーアップしてTOP200が発表されるようになりました。ここからコロナ禍で激変した世界の航空業界の浮沈がわかります。
世界の航空業界は米中が圧倒
TOP3はアメリカのエアラインであることがわかります。3大エアラインとして長く上位に君臨するアメリカン、デルタ、ユナイテッドの3社は引き続き上位の座を占めています。その他、TOP200以内に15社の米国エアラインがランクインし、18社合計で1兆984億RPKは2位中国の6076億RPKを大きく引き離して堂々の1位です。
国別輸送力で世界第2位となった中国の航空業界をみていきます。中国にも、日本にも乗り入れる3大エアラインがあります。過去に国営航空で飛んでいた中国民航が分社化してできた中国国際航空と中国南方航空、中国東方航空です。この3社は2021年では、世界TOP11までに3社がランクインし、世界でも有数なエアラインに成長しました。
中国のエアラインの動向
最近のトピックスとしては、2020年の世界のエアライン輸送力ランキングで「中国南方航空」がアメリカの大手3社を抜いて世界第1位になったことでしょう。
中国は、2020年にコロナ禍の影響を受け、多くの都市封鎖があり、徹底的なコロナ対策を行った国として知られますが、後半年ではいったん解除された封鎖の影響で国民の旅行熱が一気に弾け、国内旅行で盛り上がりました。中国国内とはいえ、広い国土の国のため、国内線輸送量が大きいのでRPKの数字は上がります。
アメリカでは、移動自粛が続いたこともあり、長年世界1位を占めていた位置を中国に明け渡したのです。中国は他にもアモイ航空、山東航空など、中国の二線都市と言われる地域トップの地方都市を拠点とするエアラインやLCCのSpring Airlinesなどが存在感を高めています。