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中国系航空会社が大伸長した世界の航空業界。日本とは親子ほどの差が

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中国航空の将来は明るい

中国東方航空

上海を拠点とする中国東方航空の特別塗装機

 中国の航空輸送力はまだまだ伸びる力があります。その理由はトップに位置する米国と比較してみると容易に理解ができます。米国と中国の国土は1000万平方キロ弱でほぼ同じ。人口は中国が米国の4倍以上あります。国土の広いアメリカで輸送力を伸ばした航空産業ですから、中国でも伸びてもなんら不思議ではありません。

 世界の航空輸送力をGDPのランキングと照らし合わせてみますと、GDP世界TOP3は米国、中国、日本となりますので、日本の航空輸送力が世界3位は難しいとしてもそれなりの位置につけていると思うのは早計です。

 それでは日本の航空輸送力をお知らせしましょう。TOP200社の比較ですし、当該国のエアラインではあるものの、もちろん外国人が搭乗している訳ですから、その国の正確な輸送力の比較ではありません。それでも、ANAやJALの数値を見れば日本の輸送力がわかると言っても過言ではありません。

日本の航空は「まだ子供」

 国別のエアラインRPKの合計値は、アメリカ、中国、ロシア、UAEの順(筆者作成図参照)で、日本は世界16位の位置にいます。世界シェア1.5%は予想以上に低く感じるのではないでしょうか

エアライン

国別のエアラインRPKの合計値。Cirium RPK Dataより筆者作成

 航空業界のビッグデータでは、このような国ごとのエアラインの浮沈も容易に見出すことができるのです。日本の航空行政がもっと活性化し、世界の中でも存在感を示すことのできるようにならないと発言力を持つことはできません。日本政府による航空行政の柔軟で開放的な運用を希望せずにはいられません

 米中日の航空輸送力を比較してみましたが、米中と日本では親子ほどの差があることが良くわかります。考えようによっては子供である日本の航空輸送力がもっと増える可能性も残されています。

 ANA、JALの躍進によって日本発着の多くの路線が増えることは、日本国の財産が増えることと同じです。JALの躍進によって2000年代前半に日本の輸送力が最大になっていたように、コロナ後に日本人が世界の多くの都市に直行で行けるようになるといいですね

<TEXT/北島幸司(航空ジャーナリスト)>

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram @kitajimaavianwing

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