リモートワークで無意識に使う「ありがとう」の落とし穴
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、安倍晋三首相は4月7日、改正特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発令。16日には対象地域を東京、神奈川、埼玉など7都府県から全国へと拡大。5月6日まで各自治体首長の要請のもと、住民の外出自粛や飲食店の営業休止といった措置が取られる予定だ。
若手ビジネスマンのなかには初めてリモートワーク(在宅ワーク、テレワーク)に取り組む人も多いだろう。リモートワークは、働く場所の自由度が増す半面、オンラインでのやり取りが中心になり、自分の意志がうまく伝わらない難しさもある。
遠隔地で気持ちよく働くために、何を意識し、どのように問題解決をすればいいのか。著書『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する 「未来のチーム」の作り方』(藤村能光、扶桑社)より、「オンラインコミュニケーション」について綴った部分を紹介する。
本稿の執筆者である竹内義晴氏は、「働きやすさ」を考えるメディア「サイボウズ式」編集部員であり、新潟県でNPO法人を運営しながらサイボウズで複業をしている。前回はリモートワークの難しさについて紹介したが、今回はリモートワークを円滑にこなす実践的なコツを紹介したい(以下、同書より引用)。
オンラインコミュニケーションを円滑にする工夫
ここからは、私がリモートワークをするうえでの「オンラインコミュニケーションの工夫」のいくつかについて紹介しよう。
● 誤解を生じないようにする工夫
ネット上では、意見の食い違いからおたがいを批判し合っているようなシーンをよく見かけるが、意見の食い違いは、相手の意見を読んだときの「解釈の間違い」によって生じることが多い。
そこで、解釈の間違いを防ぐため、ひと言目に「解釈の確認」を入れることにしている。
例えば、「テレビ会議だと、ちょっとした発言をしたいとき、オフィスの会議室で話しているメンバーの会話の流れを止めてしまわないかと不安」という社員に、私は以前、次のような「解釈の確認」を入れた。
相手の意見を「なるほど、あなたが言いたいのはこういうことですね」のようにひと言で要約し、「あなたのおっしゃることを、私は○○と解釈しましたが、合っていますか?」と確認し、解釈の食い違いが起こらないように工夫している。
特に、論点がいくつかありそうな長い文章のとき、この「解釈の確認」を入れると、相手と認識を合わせやすくなる。
「ありがとうございます」のひと言にも工夫を
● 冷たい印象を和らげる工夫
文字でのやりとりでは、顔の表情やジェスチャーで伝えることができない分、「文字に表情をつける」ようにしている。例えば、「ありがとうございます」のひと言も……
ありがとうございます。
ありがとうございます!
ありがとうございますー
ありがとうございます〜
ありがとうございますm( __ )m
あざっす!
のように、ビックリマークをつけたり、伸ばしたり、顔文字を添えたり、あえてくだいて伝えたりすることで、無機質な文字に表情が生まれる。また、話の内容が否定的か肯定的かにかかわらず、相手との関係がギスギスしないよう、できるだけ肯定表現を使うよう意識している。
例えば、「Aさん、そういう言動は混乱を招くので、○○にしたほうがいいと思いますよ」という意見を伝えたい場合、一般的には「“あなた”を主語にした否定表現」+「アドバイス」になりがちだ。だが、否定されると、受け取った側は反発心を抱く。
そこで、「“私“を主語にした肯定表現」を意識している。
例えば、「私は、△△を○○にしていただけたほうがうれしいです」のように。また、「今日中に報告書を提出してください」のような命令口調も強い印象を与えやすい。そこで、「今日中に報告書を提出することはできますか?」のように“疑問形”にすると、柔らかくお願いするニュアンスになる。同じことを伝えるにも、できるだけ気持ちよく伝えたい。