「友達だからタダでやって」問題。経験者3人の嘆き
近頃、Twitterを中心に「クリエイターに対して“友達だからタダでやって”と制作を依頼してくる」というエピソードを漫画にした投稿が話題となっています。
このツイートは、同様の経験を持つ多くの人の共感を集め、4.6万リツイートを獲得しています(2019年7月1日時点)。
SNSにはこの投稿者以外にも多くのエピソードが寄せられ、プロのイラストレーターやデザイナーに対し、「ポスター用のイラストを描いてほしい」「結婚式のウェルカムボードを描いてほしい」であったり、ネイリストに「タダでネイルして」など事例は多岐にわたるようです。
同僚からの依頼を快く引き受けたら…
ファッション誌の編集部でデザイナーとして勤める小柴俊介さん(仮名・29歳)も、「友達だからタダでやってよ」で後悔した一人です。きっかけは、広告営業部に所属している同僚男性、Aさんから結婚式の招待状の作成を頼まれたことでした。
「いつもお世話になっている同僚のよしみで受けることにしました。何より祝いごとだし、お金をもらうのも悪いかなと思って……」
招待状のデザインを引き受けることになりましたが、思わぬ仕打ちを受けてしまいます。
「いったんデザインとして完成させたものを、PDFデータにしてAさんに確認してもらいました。その翌日、細かい赤字をいれたスキャンデータが戻ってきました。少し文言を変えるとか、レイアウトを調整するくらいならまだわかるけど、プロの僕でも“そんなところまで?”と思うような細かい注文やダメ出しが満載で……」
あとで聞いた話によれば、Aさんの奥さんが入れた赤字だったようです。
「1回だけなら笑って対応できたけど、そのやりとりが2回、3回と続いて……もう勘弁してくれよと(笑)。結局、作業量で換算するとタダ請け負うような仕事ではありませんでしたね」
せっかく厚意で引き受けたのに、あとからいちゃもんつけられたらたまったものではありません。デザイナーのような専門職ほど、仕事の大変さが理解されず、こうした被害に遭いやすいそうです。
仕事として受けたつもりが「タダじゃないの?」
フリーランスのデザイナーとして働く白川裕子さん(仮名・36歳)は日本では馴染みのない、珍しいエスニック料理の勉強に励んでいました。
「外国人の先生から教わる料理教室で、そこの同じクラスで、よく顔を合わせていたのがBさんという男性でした」
お互いに食の趣味が合うこともあって、教室以外でも一緒に食事に出かけるなど、2人は親睦を深めていきます。クラスの中でも、向学心があり凝り性だったというBさんは、やがて趣味の枠を越えて、自ら飲食店の経営に乗り出すことになります。
「ことの発端はBさんのお店の開業前夜。『自分の店を始めるからメニュー表のデザインや、宣伝用のチラシを作って欲しい』と相談されました。でも、Bさんはただ漠然と作って欲しいというばかりでした……」