「失敗する若者、変われない若者」の欠点。昭和40年代生まれの2人が憤慨
普通の人の心を動かすにはどうすべき?
伊藤:たとえば江戸時代の小作人も、地主に何を言っても自分たちの苦しい状況は何も変わらないから、裏で愚痴を言っていたのだと思います。そのDNAは社会全体に残っているのではないかと思います。また、高度経済成長期はとにかく真面目に働いてさえすれば出世することができました。
その経験をしてきた親から、「ちゃんとやりなさい」とだけ言われて育てられた人たちが大勢いますよね。そういう人たちを根本から変えるのはとても難しいことで、相手の心に火をつけるだけでは足りないんです。
池田:人が変われるかは、自分の意思だけではなく、置かれた環境も大きく左右するのでしょうか。
伊藤:グロービス経営大学院に入って学んでいたときのことですが、みんないきなりガーっと手を上げて発言するのですよね。その環境に身を置くと、あまり積極的に発言をしてこなかった自分も手を上げるようになりました。やっぱり環境は大事ですよね。
40歳を過ぎても人は変われるのか?
池田:40歳を過ぎている、いわば人生の後半を迎えたような人に「私は今からでも変われますかね?」と聞かれたときに、「変われますよ!」とは言うのですが、内心は圧倒的な努力をなしには難しいんじゃないかとも思ってしまうんですよね。
伊藤:変わりたくないという人はいますが、それはもう知りません。そういう人生もありますから。でも、変わりたいと思っているのなら、絶対に変わることができる。とはいえ最初から行動には移せないわけですよ。私なんか20代の頃は会社に行けなくなってしまい、玄関先で嘔吐していたくらいですから。そんな不甲斐ない自分を変えたいと私が奮起したように、変われるキッカケはどこにでもあると思うんですよね。
池田:僕が卒業した大学は、いわゆる「有名校」ではないんですよ。23歳のときに中小企業診断士の学校に通い始めたのですが、周りはみんな一流大学を卒業して一流企業に勤めている人たちばかりでした。
中小企業診断士の試験の合格率は4%(1年で一次・二次試験をストレート合格できる当時の確率)なので、クラスの中で1人しか合格しない計算なんです。この人たちが全員落ちる中、自分だけが合格するためにはどうしたらいいかと考えたら、周りが寝ているときも遊んでいるときも自分だけは勉強していないとダメだと考えました。
そして中小企業診断士の資格を取った。その後コンサルタントになろうと転職活動を始めると、人材エージェントの人間に「あなたの学歴と職歴では100%コンサルタント業界への転職は不可能です」と言われ、絶対に見返してやろうと思ったんです。