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海外と逆行する「マイナンバー制度」の謎。情報漏洩のリスクをどう捉えるか

ビジネス

「無駄な公共事業」と言われたくない?

 また、政府がマイナンバーに関する施策を急いでいる理由として「マイナンバー制度に多額の税金が投入されていることが影響しているのではないでしょうか」と見解を示す。

「2021年3月の衆院内閣委員会で、当時の菅義偉首相は“マイナンバー制度に関して国が支出した費用は過去9年間で8800億円にのぼる”と明らかにしました。また、政府はマイナンバーカード普及のため1兆8000億円強を投じることを決めました。

 これだけ大規模な予算が投入されたにもかかわらず、マイナンバー制度の費用対効果はいまだに明らかにされていません。IT業界向けの無駄な公共事業という批判も多いです。仮に国民全員がマイナンバーカードを使用するようになれば、無駄な公共事業と言われずに済みますから、普及を急いでいるのかもしれません」

マイナンバーを持たないと不利益に

マイナンバー

 義務化の可能性もあるマイナンバー制度だが「政府が今すぐマイナンバーカードを持つこと自体を法律で義務化することは考えにくいです」と出口氏は予想する。しかし、今後、マイナンバーカードの電子証明書機能などの民間利用が積極的に推進されるかもしれない。

 そうなると、マイナンバーカードを持たない人は、日常生活でスムーズに民間のサービスを利用できないなど、不利益を被る事態になるかもしれない。加えてさらに怖い問題がある。個人情報の流出だ。

「個人情報保護委員会の発表によると、企業や行政機関から2017~2021年度の5年間で少なくとも約3万5000人分のマイナンバー情報が紛失や漏えいしています

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