「お前は使えない」と睨まれたら…合わない上司と“正しい関係”を築くコツ
「上司と部下」と「師匠と弟子」の決定的な違い
こうした師弟関係に基づく場では、多くの場合、普通の職場より厳しい環境に身を置くことになるでしょう。しかし、その厳しさの大きな要因となる「師匠=上司」は、自分で選んだという主体性が前提として存在しており、普通の職場の上司・部下の関係とは決定的に異なります。
そして、自分の目に狂いがなければ、その師匠の下で身につけた技術やキャリアは、着実に仕事に結びつきます。
「〇〇さんの弟子」というだけで業界から一目置かれたり、職人の世界ならのれん分けでブランドを手にできたり、体育会系の部活なら就職に有利だったり、社会に出てからもOB・OGのネットワークを利用できます。
リスクとリターンの天秤が成立する関係
つまり、師匠と弟子の関係の場合、前提としてリスクとリターンの天秤が成立しています(ただし、強すぎる師弟関係はハラスメントなどの温床になりかねず、天秤がリスクに傾いていれば是正すべきなのは、言うまでもありません)。
一方、正規にしろ、非正規にしろ、会社組織に所属する形で働く場合はどうでしょうか?
もちろん、その会社の理念や仕事ぶりに共感し、半ば弟子入りのような形で入社し、その会社で自己実現を果たす明確なビジョンを持っている人もいるでしょう。しかし、そこまで明確な意思を持って会社に入社した人がどれだけいるでしょうか?
「この会社で、自分はどんなことができるのだろうか?」。最初は、そんな期待と不安が入り混じった気持ちでいる人の方が多いのではないでしょうか。そして、まったく見ず知らずの上司の下で、手探りで仕事をしていくことになります。にもかかわらず、職場での上司と部下の関係は、とても密度が高いものになります。