息を吹き返した「高級ホテルの代表格」、“爆買い”しない欧米の観光客が後押しに
帝国ホテルが長い停滞期を抜け、黒字化に向けて進み始めました。株式会社帝国ホテルの2022年3月期第2四半期に1億3600万円の純利益を出したのです。期首の予想では、8億円の純損失を見込んでいました。
日本の空前の円安。10月には1ドル150円台まで円安が進行しました。実に32年ぶりの円安水準です。そのタイミングで外国人観光客の受け入れが始まり、高級ホテルが活気づいています。
今期は2億円の営業利益を予想
帝国ホテルの2022年度上半期の売上高は前年同期間比51.4%増の186億円でした。2021年度は上半期に雇用調整助成金を12億円、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金を2億円得ています。それでも38億円もの純損失を出しました。
今期は助成金と協力金あわせて7億円程度しか入っていません。それでも黒字化をできた帝国ホテルは、確実に稼ぐ力を取り戻しています。2023年3月期は売上高を431億円と予想しており、コロナ禍に入る直前の2020年3月期の8割まで回復する見込みです。本業で稼ぐ営業利益も2億円と予想しています。
帝国ホテルは2022年5月12日に「中長期経営計画2036」を公表しました。その中で、訪日外国人客は2024年度以降に本格回復すると予測しています。しかし、円安が追い風となり、もっと早い段階でインバウンド需要は盛り上がりを見せるかもしれません。
アメリカからの観光客が中国を追い抜く
日本政府観光局によると、2022年9月の訪日外国人観光客数は20万人を超える見込みです。8月と比較して1.2倍。これは水際対策が緩和される前の数字です。
9月までは1日5万人という入国制限が課されていました。10月以降は大幅な増加に期待がかかります。興味深いのは、アメリカから観光に訪れる人の割合が増加していること。コロナ前の2019年の訪日外国人観光客のうち、アメリカから来た人の割合は5.4%。2022年9月は8.7%まで3.3ポイント増加しています。9月は中国から観光客数を追い抜いています。