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正気の沙汰とは思えない「原発再稼働」。再エネよりも火力発電を選ぶべき理由

ビジネス

CO2の回収・貯留も進化した火力発電

火力発電

 また、太陽光発電や風力発電の発電量が安定しないという欠点もある。電力は送電線が長くなればなるほど途中で減衰してしまうので、発電所はなるべく電力消費地の近くに建てたほうが効率がいい。その点、火力発電は原子力やメガソーラーや風力と違って立地条件を選ばないので、消費地の近くに建てることができ、その分コストパフォーマンスがいい。

 多くの人が問題にするCO2の排出に関しては、人為的地球温暖化説はウソだと思っている私としてはたいした問題ではないのだが、仮にそこに問題があるとしても、最近の火力発電は見違えるように進歩して、CCS(Carbon dioxide Capture andStorage)にも実用化のめどが立ってきている。

 CCSとはCO2の回収・貯留のことで、火力発電所から排出されるCO2をトラップして地下に貯留し、大気中に放出されないようにすることだ。この技術が進歩して安価に行えるようになれば、人為的地球温暖化を信じる人たちも、石炭火力発電を忌避する理由はなくなるだろうから、原子力発電をやめて、火力発電に全面的に切り替えることが可能になる。

<TEXT/生物学者 池田清彦>

生物学者。1947年、東京都生まれ。東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『専門家の大罪-ウソの情報が蔓延する日本の病巣』(扶桑社新書)ほか

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