上場廃止危機「レオパレス21」が4年ぶり黒字化。なぜV字回復できたのか
「ディストレスト投資」で救われる
こうしてみると自社努力によって債務超過を解消したように見えますが、実際には他社の出資で再建しました。レオパレス21は再建にあたってSBG傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループから「投資及び融資」という形で約572億円の資金提供を受けており、この資金を改修費にあてています。この出資がなかったら倒産していたかもしれません。
出資額の内、300億円分の融資に関しては年利14.5%が適応されているため、フォートレスはこの利ザヤを狙っていることが分かります。また、投資によって一定の経営権を握っており、2022年5月時点でのレオパレス21の筆頭株主(25.7%)である「千鳥合同会社」はフォートレス傘下の企業です。
フォートレスがレオパレス21に対して行ったような、経営状態が悪化した企業に投資し、回復したら資金を回収する投資手法は“ディストレスト投資”と呼ばれています。同ファンドはもともとディストレスト投資に軸を置く投資会社であり、今回の出資も同社にとっては常套手段に過ぎないのです。
しばらくはV字回復が続く?
レオパレス21は自社の経営権を一部譲り、資金の返済義務を負いながらも出資を受けることで再建し、債務超過を解消しました。再建にあたってリストラやオーナーへの家賃削減などの厳しい施策も行いつつも、何とか黒字化に成功した形です。
過去に食中毒問題を発生させた飲食チェーン(モスバーガー、ペッパーランチなど)に客足が戻っていることを鑑みると、消費者はいずれ、問題を忘れる特徴があります。現にレオパレス物件の入居率は徐々に戻っています。
今後については同社が2023/3期の増収増益予想を立てているように、しばらくはV字回復が続くとみられます。
<TEXT/経済ライター 山口伸 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>