4兆円の時価総額が消滅…仮想通貨「LUNA」に起こった大暴落の背景
「$UST」に起こった崩壊までの流れ
最初に異変があったのは5月7日、日本時間18時だ。
この時、Anchorから14億ドルもの巨額の出金が行われていることが確認されている。それから4時間後の日本時間午後10時。テラUSDの大量の両替が行われ、1ドルを維持できず、0.985ドルに下落し、信用不安がささやかれ始めるも0.99ドル程度まで回復する。LUNAは約10%下落。
その後、しばらくは1ドル弱を維持したテラUSDであったが、5月9日の日本時間22時頃、ついに1ドルを維持できなくなりはじめる。この時、瞬間的なタイミングを狙った計画された精密な攻撃が行われたという指摘もあるが犯人、真偽は不明である。
そこからは実に早かった。LUNAの価格は凄まじい速度で下落していき、最終的には0.000001ドルまで暴落する。テラUSDが1ドルに戻らない限り、LUNAは売られ続ける仕組みのためだ。加えて、テラUSDを持っていくと1ドル分のLUNAがもらえるという仕組みであるため、価格が下がれば下がるほど1ドル分のLUNAというのは多数必要になる。
LUNAが10ドルの時ならば、0.1LUNAで済んだものが、0.01ドルになると100LUNAになってしまうのだ。ゆえに指数関数的にLUNAの数は増加していき、最終的にはブロックチェーンが停止される5月13日時点で7兆枚に達した。5月10日時点での7.7億枚から、たったの3日で7兆枚と実に1万倍近くに増えてしまったのだ。
大手仮想通貨取引所が取引を一時停止
一方でLUNAのこの「デス・スパイラル」の仕組みに気づいていない投資家が多かったため、リバウンド狙いの買いが入り続ける事態が起こってしまった。そのため、大手仮想通貨取引所Binanceはユーザー保護のためLUNAの取引を一時停止すると宣言。
1. At #Binance we prioritize user protection. We made the decision to suspend LUNA and UST trading. Here's why.
A thread
— CZ Binance (@cz_binance) May 13, 2022
これによってひとまずLUNA騒動は落ち着くことになるが、市場全体ではLUNAやテラUSDの価格参照の遅れを利用した攻撃が各所で発生し、混乱を起こす。
市場全体もこれを受けてか数日の間、大きく暴落した。仮想通貨市場ではこれでも少しの非日常である。これほどの大規模な信用危機は、仮想通貨市場においても歴史に残るほどだ。しかし、ここまでではないものは比較的ゴロゴロと転がっているのも否定しようのない事実なのだ。