オタフクお好みソースに「創業100年の歴史」と「広島と関西のソース文化」を聞いた
生まれたきっかけは「あの料理」だった
試行錯誤を繰り返した期間は2年ほど。お好み焼き店様に試食してもらいアドバイスを受けては、また作り直しての繰り返しだった。
「創業者夫婦の息子たちが事業を手伝い始めた時期だったのですが、ある日、創業者の妻があんかけ料理を作っていたんです。それを見た息子が『このとろみは何?』というので、ウスターソースにとろみをつけるという発想が生まれました。
ただとろみをつけるだけなら簡単ですが、ウスターソースのメインは野菜と果実で、あとは香辛料と塩やお酢なども入っています。とろみをつけるだけだと、味が濃くなって辛くて食べられないんです。塩分を下げると今度はお酢が立ってしまうなど、味のバランス調整が必要になってきました。
現在の相談役(創業者の息子)に当時の様子を聞くと、試作品を持って行っては夕方に作り直しての繰り返しだったそうです」
実は微妙にソースの味が変わっていた
ようやく1952年に完成した「オタフクお好みソース」。筆者も好きな調味料だが、昔から味はそれほど変わっていないように思える。
「お好みソースができてから70年経つのですが、その間、人の味覚は時代と共に変化しています。現代では、塩分に対して敏感に反応される人も多くなっています。そのため、開発当時のお好みソースから、徐々に塩分値を下げるなど、味わいを調整しています」
とはいえ、その変化は「微細なもので、大きな変化ではない」と大内氏は語る。
「人の味覚ですぐにわかるような大きな味の変化ではありませんが、時代とともに変化するお客様の味覚に寄り添った丁寧な商品開発を、これからも続けていきたいと思います」