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税や保険料の「国民負担率」が過去最大に。懸命に働く人が“報われない”日本は変われるのか

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今後も国民負担率が上昇する可能性が

松尾匡氏

松尾匡氏

 続けて、松尾氏は今後も国民負担率が上昇する可能性があると危惧する。

「岸田首相は2月14日、コロナ前に決めていた2025年のプライマリーバランス黒字化目標を維持することを表明しました。プライマリーバランスというのは、消費税や所得税などによって世の中から政府が吸収するお金と、公共投資などによって世の中に政府が出すお金の差を指します。

 つまり、プライマリーバランス黒字化を掲げることは、『世の中に出回るお金の減少を目指す』ということです。新型コロナウィルスの影響により、プライマリーバランス黒字化は見直す方向に進んでいたのですが、結局変えないようです」

総需要が圧倒的に不足しているのに…

「それに先立つ2月10日、岸田首相の直轄する『財政健全化推進本部』にて、『次世代のための財政戦略検討小委員会』を立ち上げました。同会に名を連ねた議員は、緊縮財政を信望する方々ばかり。今夏に発表される政府の“骨太の方針”に反映させることを目指して、増税をはじめとした後ろ向きな議論を展開したいのでしょう

 前回の記事で、日本経済には緊縮財政とは真逆の積極財政が必要不可欠であると、松尾氏は主張した。しかし、岸田政権はますます財政出動を渋っているようだ。松尾氏は、国民負担率を今後も上げようとする岸田政権に疑問を呈す。

「日本はそもそも長期間のデフレに苦しんでおり、総需要が圧倒的に不足しています。現在も新型コロナウィルスの影響から脱却できておらず、人々の購買力が復活していません。加えて、燃料や原料が値上がりして利益が圧迫されたり、消費者の節約で売れ行きが落ちたりする業者は少なくないです。

 このような状況下で、中小個人事業者のみなさんがコロナ対策で納税猶予されていた税金を払わなければならなくなったり、コロナ対策で緊急貸付した資金を返さなくてはならなくなったりする時期が近づいています」

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