所得格差の拡大…なぜ若者だけ?非正規労働者を取り巻く“厳しい現実”
内閣府が2020年2月7日に公表した「日本経済2021-2022」が波紋を広げています。格差の象徴であるジニ係数が、25歳から34歳の若年層の間で高まっていると指摘しているためです。
ジニ係数は所得格差を示すもので、0から1の間で変動します。0は格差がまったくない状態です。0.50を超えると是正が必要と言われています。25歳から29歳のジニ係数は0.25と低い水準ですが、年々増加しているのは間違いありません。
格差を表す「ジニ係数」には2つに分かれる
実はジニ係数は大きく2つに分かれています。「労働所得ジニ係数」と「再分配所得ジニ係数」です。労働所得ジニ係数は純粋な労働によって算出するものです。再分配所得ジニ係数は、税金や社会保障費を格差是正のために再分配した後に算出するものです。
岸田文雄首相も所得格差を問題視しており、2021年10月12日の『報道ステーション』(テレビ朝日)でも「官民協同で成長も分配も実現する」と発言しました。再分配所得ジニ係数こそ格差是正のカギを握っているのです。
この記事では労働所得ジニ係数が若者の間で広がった理由を解説し、格差是正のために再分配がどのように行われているのかを考察します。結論を先に書くと「若者よ、選挙に行こう」となります。
25~34歳の所得格差が高まっている
日本の労働所得ジニ係数そのものは、世界金融危機があった2007年をピークに緩やかに下降しています。全年齢を対象とした日本の格差は縮小していることになります。
ただし、世代別に詳細を見ると、若年層の間で格差が少しずつ拡大していることがわかります。35歳以降の年齢は2017年の労働所得ジニ係数は2007年と比較して低下しているにもかかわらず、25歳から34歳のジニ係数は高まっているのです。これが若者の間で格差が広がっているという根拠です。
格差が広がった理由は単純です。非正規雇用の割合が高まる一方、労働時間は少なくなっているためです。