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マスク生活で「耳疲れ」が急増…補聴器メーカーが伝えたい、耳との付き合い方

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難聴の若年化が進んでいる

GNヒアリング

GNヒアリング社の補聴器

「聞き取りにくさ」は中高年の問題で、20~30代には無縁の話と感じる人も多いだろう。しかし、現代の若者はイヤホンやヘッドホンを用いて音楽を聴くというカルチャーが盛んなことも影響し、難聴になる年代が昔と比べても早まっているのではと危惧されている。

「爆音で聞いたり、ストレスを感じることで起こる突発性難聴ならすぐ異変に気づきますが、徐々に聴力が衰える場合は自分では気づきにくいもの。50代あたりから聴力が衰えていき、高い音が聞き取り辛くなる加齢性難聴と似たような現象が、耳を酷使することで引き起こされるのです。

 そもそも、耳の聞こえ辛さは、内耳の有毛細胞が、軽度・重度難聴になるにつれ衰えていくことで生じます。重度になると分かりやすいのですが、軽度難聴の段階が一番気づきにくいとされています。また、若いころならダメージを受けた聴覚器の細胞(有毛細胞)も耳を休めることで回復が可能ですが、耳に負担をかけ続けることにより、30代頃から急に聴力が衰えるケースも

 そうした繰り返しダメージを受けて消失した人間の有毛細胞は、自然再生はしません。iPS細胞の移植などが期待され研究が行われているものの、現状の医療技術では元どおりに有毛細胞を復活させるにはいまだ至っていません」(藤垣氏)

耳にダメージが蓄積される可能性が

 では、具体的にどの程度の音量なら耳に影響がないのだろうか。日本産業衛生学会が発表した基準では、85デシベル(1日8時間、A特性音圧レベル)以下の環境で作業や仕事をすることが推奨されている。

GNヒアリング

日本産業衛生学会(産衛誌 2021;63:179-211)

1日のうち8時間、85デシベル以上の音量を聞き続けると、耳にダメージが蓄積される可能性があります。通常の会話が60デシベル、電車内が80デシベル程度とされています。例えば地下鉄の車内であれば90デシベル以上になることも多いため、そうした環境には長時間滞在しないほうがいいでしょう。

 室内で音を出す場合は、80デシベル以下が安全な音量です。テレビの音量でいうと会話ができる程度の音量なら安全ですが、周囲の人がうるさがり会話に支障が出るくらいの音量だと、長時間の視聴には耳に悪影響を及ぼす可能性があります」(藤垣氏)

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