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なぜ少子高齢化は止まらない?消費税以上に重い“負担”の正体

コラム

子供向け医療の無償化を進めるべき

「特に日本の場合には、長年の緊縮財政によって保健所や公的医療機関が縮小されてきたことも相まって、こうした医療業界の傾向が公衆衛生インフラのぜい弱化をもたらしています。欧米よりもはるかに被害が少ない新型コロナウイルスに対応する医療態勢が追いつかず、外出・営業制限によって、かえって多くの人々が精神的・経済的被害を被ったことなどは、その典型と言えるでしょう。

 こうした状況を改善するためには、緊縮財政を廃して公的医療を拡充するなど公衆衛生インフラを強化する一方で、高齢者の医療費負担を引き上げて過剰な医療サービスを防止し、医療資源の配分を適正化することが必要ではないでしょうか。

 優遇するのであればむしろ、現在は一部自治体で行われている子供向け医療の無償化を国の制度として導入するほうが、はるかに筋が通っています

転換に必要なのは政治家のリーダーシップ

政治家

 最後に、緊縮財政を脱し、積極財政を実現するためには何が必要かを聞いてみたところ、「1930年代のアメリカのニューディール政策がそうであったように、財政政策の転換に必要なのは政治のリーダーシップです」という答えとともに、有権者である国民の側にも相応の覚悟が必要であるとの指摘があった。

「とはいえ、過去30年近くのさまざまな政策はおおむね緊縮財政を前提として組み立てられてきたわけですから、財政政策を転換するということは、そうした政策を大幅に見直すことにもつながります。しかも、経済政策の理論的基盤となるべき経済学の主流派がそうした緊縮政策を支持してきたわけですから、それをひっくり返すには相当の覚悟とエネルギーが必要です」

 財務省の矢野康治事務次官が月刊誌『文藝春秋』2021年11月号に寄稿し、話題になったが、そこで岸田文雄首相が指示した経済対策について「本当に巨額の経済対策が必要なのか。コストや弊害を含めて、よく吟味する必要がある」などと主張したことからも、財務省が緊縮政策を支持していることがうかがえる。

MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論

MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論

国会・日銀・財務省が紛糾!世界を揺るがす経済理論の実態を徹底解説。2019年8月、待望の邦訳が刊行されたランダル・レイ『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者自らが、そのエッセンスを徹底解説

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