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中国に押される日本のアニメ業界。過酷労働で人材流出が止まらない背景

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日本アニメの隆盛も今や…

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 技術だけでいえば、元をたどれば、日本も海外の漫画や映画から技術を学び、他国の文化を取り入れてきたことで現在があるのも事実。手塚治虫もディズニーでアニメを学び、円谷プロのウルトラマンも「日本のスーパーマンを作りたい」というのが始まりだった。

 日本製といっても、その中にはルーツとして多国籍なものが含まれているし、これらはなにも「パクり」というものではなく、物づくりにおける試行錯誤の過程では欠かせないもののひとつ。しかし、技術そのものは奪おうと思えば奪えるし、スキームではすでに抜かれているのかもしれないわけだ。

 中国ではここにきて、映画やテレビと比べれば、寛容だとされていたネットの動画配信に対しても検閲を強化する動きを見せている。自国での視聴を制限して、意図的に日本製アニメの国際市場収益を大幅に下げることで、優位に立とうとしている可能性もあるのだ。

「日本のアニメが世界一」なんて呑気に言っていられる時代はすでに終わりつつある。独自性をどう発信できるか、まさに個性とグローバリズムが同時に求められていくだろう。

<TEXT/映画ライター バフィー吉川>

映画評論家・映画ライター。映画情報&批評サイト「Buffys Movie & Money!」を運営中。Stand.fmなどの音声メディアで「バフィーの映画な話」も定期的に配信中。著書に「発掘!未公開映画研究所」(つむぎ書房)がある

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