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西武は大苦戦、東急はまだマシ。首都圏私鉄7社のコロナ苦境の業績を解く

ビジネス

流通事業の減少幅が少ない東武鉄道

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 東武鉄道は東京・千葉・埼玉・群馬と首都圏の東方に展開しており、浅草から伊勢崎を結ぶスカイツリーライン・伊勢崎線、池袋~寄居間を結ぶ東武東上線、大宮~船橋間のアーバンパークラインがあります。ちなみに池袋駅の「西口にあるのが東武鉄道」「東口にあるのが西武鉄道」です。

 2020/3期と2021/3期の営業収益は6539億円⇒4963億円と24%減少しました。一方の営業利益も627億円⇒-136億円と赤字転落です。鉄道を主とする運輸事業の収益が1591億円と26%減少したのに対し、レジャー事業は391億円で46%も減少しました。

 百貨店などを展開する流通事業の収益は2163億円と19%減少しましたが、東武ストアやユザワヤなどコロナ禍でも需要のある店舗を展開していたためか減少幅は他社より少なめです。最新2022/3期1Qの営業収益は1119億円と前年より10%増加しているものの、やはりコロナ以前の水準には届いていません。

成田空港の利用客減少に影響された京成電鉄

 京成電鉄は上野から成田空港へ向かう京成本線・成田スカイアクセス線を主路線とし、その他には新京成線を運営しています。ちなみにスカイライナーが走る成田スカイアクセス線は途中で北総線の線路を使用するなど上下分離方式がとられている路線です。

 2020/3期と2021/3期の業績を見てみると営業収益は2748億円⇒2078億円と24%減少し、営業利益は283億円⇒-181億円とこちらも赤字に転落しました

 事業別にみていきましょう。流通業に関しては京成百貨店は水戸に1店舗しかなく、スーパーなどを主事業とするため収益は612億円と10%しか減少しませんでした。レジャー・サービス業は36%も減少しましたが、収益は67億円と全体の業績に対する影響は微々たるものです。しかしながら鉄道を主とする運輸業(収益1046億円)の減少幅は他社より多く、35%減となりました。

 訪日外国人や国内旅行客の減少によって成田空港の利用客が大幅に減少したことが影響しており、スカイライナーも一部運休を余儀なくされています。最新の2022/3期1Qの営業収益も519億円と前期よりは12%増えましたが、国内旅行が以前の水準に戻っていない分、コロナ以前の水準には程遠いようです

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