『愛の不時着』『梨泰院クラス』を抑えた傑作も。韓国スポーツドラマ3選
オリンピック開幕までもう数日。いつもなら、予想や期待を親しいひとたちと酒でも飲みながら語り合う時間がとっくに始まっていて、そこからがオリンピックなのに……。嘆いてもしょうがない。ニュースにため息をつくよりも、ドラマに没入したほうがいい。国内外のドラマに詳しいライター・大山くまお(@oyamakumao)に、絶対に熱くなる韓国の傑作スポーツドラマを3本厳選してもらった。
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まもなく開催される東京五輪。盛り上がりの温度は人それぞれだが、特に関心がない人の中には「ドラマでも観て過ごそうか……」と思っている人も少なくないと思う。
そんなときにおすすめなのが韓国ドラマ。『愛の不時着』の大ヒットで日本でも何度目かのブームが巻き起こったが、『梨泰院クラス』は「韓国ドラマは女性が観るもの」「韓国ドラマ=甘い恋愛ドラマ」というイメージを打ち破った。今年に入ってからはアクションドラマ『ヴィンチェンツォ』もヒットしている。いずれも特徴は、しっかり長くて没入度が高いところだ。
今回は五輪にちなんで、スポーツもの韓国ドラマを3本おすすめしたい。Netflixをはじめとする配信サイトで観ることができる近年の作品を中心にセレクトしてみた。
『ラケット少年団』バドミントンに打ち込む中学生たちの青春
現在(2021年7月時点)、Netflixで毎週配信されている最新ドラマが『ラケット少年団』。タイトルにあるラケットとは、バドミントンのラケットのこと。田舎町で部活のバドミントンに打ち込む中学生たちの青春と、彼らの周囲にいる両親たちの世代、祖父母の世代までの悩みや喜びがじっくり描かれる。現実に疲れたときに観ると癒やされる、最近なかなか日本では作られない、まっすぐな青春ドラマだ。
田舎町の中学生とはいえ、全国レベル、さらには国際大会に出場する代表レベルの選手もいるから、ライバル心だってあるし、プレッシャーにも苛まれる。おまけにひょんなことから男女6人が同居することに!
といっても『テラスハウス』的な展開にはならないから心配ご無用。男子チームと女子チームはひとつ屋根の下で暮らしながら、張り合い、支え合う。ほんのりした恋心も描かれるが、ストーリーのメインはあくまでも部活動であり、彼らの周囲にいる大人たちとの交流。主人公が作った超絶マズいカレーが、都会から自殺するために引っ越してきた夫婦を偶然救ったりする脚本の妙を味わいたい。
中学生が抱える問題は20年経っても変わらない
主人公の血気盛んなヘガンを演じるのは、『愛の不時着』の第5中隊の最年少隊員役で一躍有名になったタン・ジュンサン。現在17歳だが、こちらもNetflixで配信中の『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』(21年)でも主演を務めるほどの若き演技派だ。バドミントン部のエースを演じるヒロインのイ・ジェイン(こちらも17歳)は、これからどんどん売れていきそう。
買い食いしたり、男同士でイチャついたり、ゲーセンで不良に絡まれたりと、「ああ、中学生の頃はこんなことがあったなぁ……」と懐かしさが湧き上がってくるが、一方で部活を頑張る動機がWi-Fiだったり(田舎町でWi-Fiの有無は死活問題)、メンバーの中にSNS中毒がいていつもインスタをやっていたりと、現代風の仕掛けは盛りだくさん。それでも中学生が抱える問題は、10年経っても20年経っても変わらないんだなぁ、と思ったりする。
そういえば日曜劇場『ドラゴン桜』で平手友梨奈が演じた岩崎楓もバドミントン部のエースだった。彼女はケガと周囲の大人たちに恵まれなくてバドミントンを続けられなかったけど、もしチームメイトや周囲の大人たちに恵まれてスクスクと部活を続けられたら……なんて思いながら観るのも一興だと思う。
【ラケット少年団】
出演:キム・サンギョン、オ・ナラ、タン・ジュンサン
原作・制作:チョ・ヨングァン、チョン・ボフン