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パン屋なのに忙しくない。32歳“元数学教員”店長の「プライドレス効率化経営」

暮らし

売れてない時はLINEを出してフードロスゼロに

アルテの食パン

「アルテの食パン」の店内。そのままで美味しい「もちこ」とトーストすると美味しい「さくお」に別れている

 他店では絶対やらないフードロスを本気でなくすという取り組みも売り上げアップの秘訣だ。

「LINEを活発に利用していますね。いくつかある公式LINEアカウントの中には売れ残りの可能性がある日に助けを求めるその名も“フードロスヒーロー”というアカウントがあります。このアカウントは、平日と休日に分けてあり、パンの在庫が厳しい時に送ります。これでほとんど売れ残りがないようにしています。

 それでもどうしても売れ残った時だけ『rebake(リベイク)』というロスになったパンを販売しているサイトを通じて送っています。でも同じパンたちなのに、値引きして売ることになるのでなるべく送りたくない。値引きすることはパンたちにもお客さんにも失礼なことですから」

“フードロスヒーロー”のLINEは送っても、特に値引きはしていない。これは、他のお店も真似たらいいのでは?

ひと段落したら30分ぐらいお昼寝もする

アルテの食パン

可愛らしいイラストも

「他のお店は『ごめんなさい、今日パンが売れてません』って言うのが嫌なんじゃないですか(苦笑)。僕はそこに関してはプライド持たないから、やってます。ただパンとお店の価値を下げる値下げはしたくありません」

 その結果、売り上げも上がり、売れ残りもなくなった。“フードロスヒーロー”アカウントのLINEは、雨の日など売り上げが今ひとつ伸びない15時過ぎぐらいから考え始めて、16時ぐらいに送ると効果大だという

 1日のタイムスケジュールを教えてもらったところ、午前中はパン作りの作業。ひと段落した14時から30分ぐらいはお昼寝もする。毎日、好きなことしている以外の時間はダラダラしながら思考の時間にする、というのも効率化している要員のひとつだ。

「アップルのジョブズさんも洋服なんか考える必要あるのかと、考える必要があるところに時間を使ってたと聞きました。午前中のルーティーンのパン作りは、事前準備を徹底して毎回同じ動きでパンを作るようにしています。夕方からは考える時間。パンは研究の仕事ですから」

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