もう顔と名前を忘れない。記憶力を伸ばすコツを“記憶術の開発者”が伝授
脳裏に焼き付ける「顔と名前の覚え方」
ビジネスマンにとって、お客様や取引先など、関係する人の顔と名前を覚えるというのは、信頼関係を構築する上での最強の武器となります。しかし、これがなかなか覚えられない。名前覚えのプロたちはどのようにしているのでしょうか? それをヒントに、「今日からできる、顔と名前の覚え方」をお教えしましょう。
【名前覚えのプロたち】
・ホテルのドアマン
そのホテルに来たゲストが最初に顔を合わすのがドアマン。ここでホテルの印象が決まってしまいます。そんなドアマンは、お客様の顔や名前だけでなく、車のナンバーまでも覚えているのだとか。
あるテレビ番組でドアマンが取材されていたのですが、彼の手帳にはお客様のリストがぎっしり書かれていました。名前だけでなく、お顔や背格好の特徴、「毎年○○の時に□□な方といらっしゃる」など。その手帳を、通勤時間や家でくつろいでいるときなど、とにかくちょっとの時間でも反復して見ているそうです。
・外国人
ある研究では、会話において相手の名前を言う頻度は、英語は日本語の約6.4倍もあったとのこと。それだけ相手の名前を反復しているからこそ、とっさにすれ違った際にも“Hi, Tom.”などと名前が出てくるのですね。また、日本人はお辞儀をしたり、照れから目をそらしたりしますが、諸外国の方は往々にして相手の目をしっかり見て集中します。
今日からできる、顔と名前の覚え方
記憶のプロたちの行動を見てみると、脳が記憶しやすくなる特徴や脳の特性を上手く利用していることがわかります。それらを、ビジネスのシーンで意識するポイントをお教えしましょう。
1)名刺交換やオンライン・ミーティング
① 分解する
・顔を漫然と覚えようとするのではなく、お顔や背格好の特徴をイメージ(視覚情報)で把握する
・名刺や顧客リストに、その特徴をメモしておく
② 集中する
・相手の目をしっかり見て話す、聞く
③ 反復する
・ミーティング中に、何度も相手の名前を反復する
④ 想起する
・ミーティング後、その日のうちと翌日に相手の名前と特徴を視覚情報として想起する
2)メンテナンスする
空き時間だけでなく、定期的に名前リスト(名刺フォルダ)を見直す。その時のポイントは、覚えるのではなくお顔や背格好の特徴を想起する。
3)備える
取引先へのアポや2回目以降の会議の予定が入ったときに、相手のお顔や背格好の特徴を想起する。訪問先の他の方々の名刺も一緒に見直すなど、関連する人もあわせて思い出す。
4)精度をアップする
お会いした時に、相手の特徴が自分の記憶と合っているか集中することで、さらに精度良く記憶される。
顔を見て名前がスッと出てくる人は、記憶を高めるコツを心得えた上に、努力であったり習慣であったり、“覚える行動”を継続的に行っているということなのです。
<TEXT/記憶術講師、脳力開発研究家 吉野邦昭>