神保町の行列カレー店が「1万5千円のコース料理と同じ気持ち」を一皿にかける理由
1万5千円のコース料理と同じ気持ちで作る
――細かい作業が好きだったんですか?
竹内:料理の世界への入り口がフランス料理だったんです。大阪の辻調理師専門学校で学んで、卒業後はフランス料理のお店やホテルに入ったりと、いろいろ回って。原点としてフランス料理があるので、細かい盛り付けはそこから来ているのかもしれません。曲がっているの嫌だし、先が尖っていなきゃいけないものは尖っていなきゃいけないし、それは自然に身に付いたものなので。
――そういうバックグラウンドがあるから今のカレーへ繋がっていったと。
竹内:そうだと思うんですよね。出すもの、売値、全部違いますけど、一皿に込める気持ちというか、お料理に対する気持ちっていうのは変わらないんですよね。850円のメニューでも1万5千円のコース料理でも、作り上げる時のそういう感覚は大事にしているつもりです。
隠し味は「醤油」
――スパイスベースでありながら洋食のエッセンスもしっかり感じられるカレーだと思いますが、何か特別なことはされているんでしょうか。
竹内:実は醤油を最後に入れているんですよ。一般的な隠し味ですけど、スパイスカレー風なものにチョロっとお醤油を入れると意外としっかりまとめてくれるんです。玉ねぎはしっかりと炒める、香味野菜はペタペタになるまで。そういう基本的なところをちゃんとやらないと最後に味のバラツキが出ちゃうんですよね。
――フランス料理の技術でカレー作りに活きていると感じるものってありますか。
竹内:やっぱりソース作りですね。自分の中でカレーはソースのひとつだと思っているんです。フランス料理でもオニオンをしっかり炒めてお酒を加えて煮詰めて、フォンドヴォーなどの出汁を加えて煮詰めて作っていくんですね。旨味を出していくやり方や手順というのはカレーにも活きているのかなと思いますね。
――カレーの専門店への興味はいつ頃から?
竹内:昔はフランス料理のお店でもランチタイムにカレーを出すお店がけっこうあったんです。カレーが好きだったのでカレーを提供するお店にもともと興味があって。あと、ここ来る前はフレンチとイタリアンのお店を三鷹の方で10年ちょっとやっていたんです。次はジャンルを変えたお店をやってみようと考えていたので、自分が好きなカレーとハンバーグを合体させたお店を開くことになりました。