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元フジテレビ部長職の働くママが、再婚→離婚から学んだ大切な経験

暮らし

あの頃は圧倒的な孤独感があった

 実は、ランチに行かないというよりも、行けないという面もあったんです。「うちの夫が」「うちのパパが」という幸せそうな同級生とは普通に話せないんですよね。

 それに4年ぶりに帰国して、「夫はエジプトで取材のための飛行機事故で亡くなった」なんて話しても相手は戸惑うだろうなと。この複雑なストーリーをわかってくれる人はいないという気持ちもあって、誰かに話を聞いてもらいたいとも思えなかったです。

 あの頃は圧倒的な孤独感がありました。今も桜の季節になると思い出すのですが、フジテレビに入った時、お花見の計画をしている方たちを「なんで桜を見てきれいだと思えるんだろう」と思って見ていたんです。1年以上、黒い服ばかり着て、何を食べても美味しいと思えなかった。きっと心を病んでいたんでしょうね

 ただ、息子たちには罪がないし、私以上に寂しい思いをしているはず。子供の前では笑顔でいようという信念だけに突き動かされていたように思います。週末はいつも家族3人でした。平日は忙しすぎたので、週末に公園に行ったりして過ごす時間は楽しかったですね。

ひとりで子を育てる母親が陥りやすい罠

育児

 2年ぐらい経ち、ようやく落ち着いた頃、やさしく寄り添ってくれる方が現れました。ここは、ひとりで子を育てる母親の陥りやすい罠だと思うのですが、自分と相性が合うのかよりも、誰かに頼りたいという気持ちで依存してしまうということがあると思います

 まさに私もそうでした。子供たちと体を使って遊ぶなど、自分にはできない父親の役割をしてくれたこと、そして、元夫の上司だった方だったので、家中に夫の写真がある環境を理解してもらえたことが大きかったです。

 私だけ籍を入れて4人で楽しく過ごした時期もあったのですが、結果的には言葉の暴力のようなことが続いたため、息子たちから「家にいてほしくない」と言われてしまったこともあって離婚したんです。

 この経験から思うのは、悩みも弱さも結局は自分にしか解決できないということです。私もそうでしたが1人でこっそりと泣く夜もたくさんあると思うけれど、他者に依存ぜずに自分を叱咤激励していく訓練をしたほうが結果的に生きやすいと思います。

 そして、選択がまちがいだったと気づき、次の一歩を踏み出せたのは、経済的に自立していたことが大きかったです。この経験も、私が女性に自分で稼ぐ手段を持つこと、簡単に仕事をやめないことを勧める理由です。

<TEXT/子育てアドバイザー 入江のぶこ>

東京都生まれ。大学卒業後、フジテレビ報道記者の入江敏彦氏と結婚。1994年12月、移住先のカイロで小型飛行機が墜落し、乗っていた入江氏が死亡。帰国後、フジテレビに就職。バラエティ制作、フジテレビキッズなどを担当。女性部長職としてマネジメントも行う。2017年7月に退職後、東京都議会議員選挙に出馬、港区でトップ当選を果たす。一般社団法人グラミン日本アドバイザリーボード、東京都交響楽団評議員。著書に『自ら学ぶ子どもに育てる 息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術』(あさ出版)がある

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