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かまいたち山内、“コンビ結成前夜”を振り返る「初めての相方はハーフ芸人」

暮らし

全ボケに対して「言うてる場合か」

山内健司

 ……しかし、いざネタ見せの授業でみんなの前に立ってネタをすると、インドネシア人とのハーフの相方は全ボケに対して「いうてる場合か」しか言わなかった。というか「いうてる場合か」しか言えなくなってしまっていた。どんなボケをしても、ヤツはすべて「いうてる場合か」とツッコんできた。練習とはまるで違う。 “全”いうてる場合か。

 ネタ見せの授業が終わると同時に僕は解散を申し出た。「解散しよう」という申し出に対して、ヤツが「いうてる場合か」と返してきたらコンビは続けていただろうが、返ってきた返事は小さい声で「ごめんなー」だった。

 こうして切ない気持ちのまま、インドネシア人とのハーフの相方とは解散した。その後、「クラスで顔合わせたら気まずいなー」とか、「他の人とコンビ組んでくるかなー?」などといろいろ考えていたが、解散後にヤツとは会った記憶がない。僕と解散したきっかけでを辞めたのかなんなのか、結局卒業までヤツと会うことはなかった

 というかあれから一度も会っていない。インドネシア人とのハーフの元・相方は僕のことを覚えているのか、今何をしているのか、ちょっと気になっている。と言いつつ、ヤツの名前は憶えていない

<TEXT/山内健司(かまいたち)>

1981年、島根県生まれ。NSC大阪校26期生。2004年に濱家隆一と「鎌鼬」を結成、のちに「かまいたち」と改名。ネタ作りとボケを担当。自伝エッセイ『寝苦しい夜の猫』を刊行

寝苦しい夜の猫

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2019年M-1の舞台裏などお笑いへの愛が込められた、かまいたち・山内健司による初のエッセイ集が発売

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