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空腹で雑草を食べたことも。エンジニアに転身した30代“元船乗り”の半生

学び

 ここ数年売り手市場が続いていた転職業界だが、コロナ禍によって、一気に「買い手市場」になった。6月以降、徐々に採用活動を広げる企業が増えてきたものの、北海道、大阪府などをはじめ国内の感染再拡大もあり、いまだ不安定な状態だ。

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フリーランスエンジニアの遠藤昌平さん

 そんななかで佐賀県に住む遠藤昌平さん(36歳)は、在宅勤務で働くフリーランスエンジニア。現在3社でアプリやWEBシステムの開発を担当している。エンジニア歴は10年になるが、ファーストキャリアはなんと“船乗り”。

 家業の船舶会社で船員として働いているとき「観光に来るお客さんを喜ばせたい」と思い、独学で観光客向けアプリを開発。その後、4年の副業期間を経て、フリーランスのエンジニアに転身したという。

 プログラミング知識はおろか、インターネットとは程遠い業界にいた遠藤さん。どのようにして船乗りからエンジニアへのジョブチェンジを成功させたのだろうか。

弁護士を目指すも志半ばで断念

 高校生時代に弁護士を志し、大学は法学部へ。その後、ロースクールに進学した遠藤さん。

 弁護士になるには司法試験に合格して1年間の法務実務を学んだあと、“二回試験”と言われる司法修習の卒業試験に受かる必要がある。猛勉強の末に司法試験に合格するも、勉強に対する熱意が次第に失われていった。

漠然と“ものづくりがしたい”と思うようになり、机に向かうのが嫌で嫌で仕方なくなってしまったんです。ただ、自分が何をつくりたいのかはまだわからなくて。ロースクールはなんとか卒業したものの、モヤモヤとした気持ちは晴れなかったため、法曹の道は断念しました」

 ひとまず生活費を稼ぐために、父親が地元・大分県で経営する船舶会社に正社員として就職する

伊勢海老のじゃんけん大会を実施

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船乗り時代の遠藤さん

 扱っている船は50人乗りの小さな船舶船だったが、「移動の手段というだけでなく、船上の出来事も思い出として持って帰ってほしい」という思いから、伊勢海老のじゃんけん大会やサザエのくじ引きなどさまざまな企画を実施。お客さんからは大好評で、瞬く間に人気観光船に。

 しかし、話題になるあまり、駐車場の空きがなくなるという問題が発生する。船を楽しみに来たお客さんが車を停められないため、泣く泣く帰らざるを得ない、ということが続いた。

「駐車場の空き情報を発信できる仕組みを作りたいと思ったのですが、それを開発できるエンジニアは周りにいません。ならば自分で作ってしまおう! と、書籍や動画などでプログラミングの学習を始めました。勉強から1か月半ほど経ち、駐車場の空き情報管理システムを完成させました」

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