bizSPA!フレッシュ

30代・元大手商社で年収1800万円「年収とやりがい、どちらを選ぶべきか」

学び

総合商社、外資系、ベンチャーの違いは?

――当時すでに結婚もされていたということで、ご家族はどういう反応でしたか?

イシコ:前から自分の考えは伝えていたので、我が家の場合は了解してくれたのですが、やっぱり家族に反対されるというのはよく聞くんですよ。

 なかには転職が決まったあと嫁さんに報告したらNGを出すケースもあるし、そうなるとどっちの会社に対しても微妙な関係になるので大変。転職に関して、まずは家族を説得できないぐらいだったら、今の会社に残ったほうがいいと思いますね。

――総合商社から外資系、ベンチャー商社と転職されて、ぞれぞれの違いはどういう部分にありますか?

イシコ:総合商社に限らないですが、大企業はすべての仕組みや制度が整っているので、それに乗っ取って仕事することが求められる。ただ外資系や今の会社は小規模なので、すべて仕事をしながらイチから作り上げていくことに一番衝撃を受けました。

 あとは、時間軸ですね。総合商社では最初の10年で勉強して一人前という時間軸だと思うのですが、当然規模が小さいほど、10年も育成期間で良いなんてないわけで。そもそも終身雇用を前提としていないですし、即戦力になることは求められる。個人の与える影響度合いや貢献度も会社の数字には如実に表れやすい。

「やりがい」よりも「年収」発言の真意

イシコ

イシコさん。取材はリモートで行われた

――そのキャリアを歩んできた中で、意識して軸にしていたことはありますか?

イシコ:例えば、100人で1000億円の仕事を成し遂げることと、1人で10億円の仕事を成し遂げることって、向き不向きがあると思うんです。僕は後者の人間になりたかった。

 就活のときから、総合商社にもいろいろな業界がありますが、規模は小さくても個人商店に近い業種をやりたかった思いはありましたね。実際には1人でやれているわけではありませんが、自分が主導権を持って仕事を回せるようになるというのは大事にしている価値観です。

――SNSでは「『やりがい』と『年収』で迷っているなら絶対に『年収』を選ぶべき」と発信していて話題を集めていましたね。

イシコ:そもそも、やりがいを取る場合って、待遇や労働環境を考える間もなく選んでいると思うんですよ。ただ、やりがいってそんなに人生を賭けるものですか? というのが、僕は疑問で。

 もしその2つを天秤にかけるぐらいだったら、まずは年収を選んだほうが、やりがいを見つけたときに選択肢も広がる。乱暴な言い方をすれば、年収は市場価値だから、あげることに損はないわけですよ。中途半端にやりがいを求めて、年収は半分で良いみたいな考え方は、将来的に不幸になることもあると思って、発信しました。

おすすめ記事