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シャープ、買収されて4年連続黒字。勢いを取り戻せるか?

ビジネス

 新型コロナウイルスの流行で、自社のクリーンルームを活用してマスクを生産しているシャープ株式会社。毎回購入抽選のための応募が殺到し、7月1日に実施した第10回抽選も倍率100倍を超える人気ぶりとなっています。

シャープ

Sharp Be Original. Photo 179820692 © Cineberg Ug

 シャープは2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下入りしました。本連載ではTwitterアカウント「アラートさん」(@blackc_alert)が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。今回は「シャープ」の業績推移と、各セグメントの実績の分析を通して、その実態に迫っていきます。

買収後の最初の難関は突破

シャープ

図:シャープの売上・利益推移(決算短信より筆者作成)

 グラフに起こすと一目瞭然ですが、シャープは2012年3月期から2016年3月期まで赤字転落が続くも、2017年3月期に営業利益・経常利益が黒字に転換しています。鴻海が買収したタイミングが2016年8月であるため、買収直後に黒字転換に成功し、以降は黒字決算が続いている状況です。

 買収・統合の場合、現場でのすり合わせが難航するケースがあるなか、債務超過状態に陥っていたシャープを買収直後に黒字化するのは素晴らしい実績でしょう。

 続いて、セグメント別の状況を確認していきます。

シャープ

図:セグメント別売上推移(決算短信より筆者作成)

 シャープの場合、この20期のうちにセグメント変更が6回ありました。今回は鴻海による買収前後の2015年3月期以降の6期分をグラフ化しています。2019年3月期・2020年3月期に絞って説明すると、それぞれ下記の通りです。

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スマートライフ:冷蔵庫・加熱水蒸気オーブン・電子レンジをはじめとした生活家電

8Kエコシステム:液晶カラーテレビ・Blu-rayディスクレコーダー・オーディオをはじめとしたAV機器・OA機器など

ICT:携帯電話機・パソコンなど

(以上、2020年3月期決算短信より筆者要約)
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 2019年3月期→2020年3月期で比較すると、生活家電・液晶ディスプレイ関連の領域がダメージを受けていることがわかります。

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スマートライフ:減少(▲471億5,800万円)

8Kエコシステム:減少(▲1,564億3,700万円)

ICT:増加(747億7,200万円)
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 決算説明会資料では、この点について「新型コロナウイルス肺炎対策としての外出制限に伴う販売減少」と説明されています。外出自粛(制限)下で生活家電やテレビを買う決断はしづらいので、妥当性はあります。新型コロナウイルスの影響で赤字転落した企業もあるなか、黒字(2020年3月期)で踏みとどまれたのはひとつの成果でしょう。

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