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シャープ、買収されて4年連続黒字。勢いを取り戻せるか?

ビジネス

直近の新しい取り組みも

 また、決算説明会資料などでは特に触れられていませんが、シャープは、コミュニケーションロボット「RoBoHoN(ロボホン)」を活用した小学生向けプログラミング・機械学習(ディープラーニングによる画像認識)を販売しています。可愛らしい外見なので、愛着をもちながらプログラミング学習ができるというのは魅力的でしょう。

シャープ

モバイル型ロボット“RoBoHoN”<左:SR-03M-YSR-04M-Y、右:SR-05M-Y> ※プレスリリースより

 また、6月26日から北九州市で実証実験が開始された「スマートバス停」も興味深い事例です。既存製品のフードコート用セルフ注文機を「スマートバス停」に転用し、地元銘菓を販売したり、オリジナルフレーム付き記念写真を撮影したりもできるようになっています。

 本格的な復活はまだ遠いかもしれませんが、いずれも復活への可能性の芽が出てきている事例であり、今後の推移に注目です。

平均年収は、さすがに大企業

 さて、働く側としてはどうでしょうか。実際に働いた時の実感にかかわる「給与」「社長など有力者のエピソード」「不祥事の有無」を財務諸表・各種ニュースから確認していきます。

 まず、勤務条件に最も影響を与える給与の状況を確認していきます。有価証券報告書(2020年3月31日時点)によると、平均年収は737万円と高水準でした(平均年齢44.9歳)。
 続いて、15期分の有価証券報告書をもとに「従業員数の推移」も確認してみることにします。

図上:シャープの従業員数推移(連結・単体)/図下: 従業員数における全社(共通)の人員比率推移(共に有価証券報告書より筆者作成)

 また、本社管理部門と研究開発部門を含めた従業員数内訳では2016年3月期を境に全社(共通)の人員が占める割合が低下しています。これは2015年に募集された希望退職と時期が重なり、研究開発部門の人員が対象に含まれていると見てよいでしょう。

 以降は、全社(共通)の人員の比率は横ばいになっているため、人員・予算削減はゆるやかに続いていると考えられます。これについて「東洋経済オンライン」の記事では「鴻海による経営改善もコストカットが主な手法」と指摘していますが、それも一定の妥当性がありそうです(シャープ、「鴻海流再建」にただよい始めた暗雲、2020/5/15)。

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