鳥貴族、コロナで1億5300万円の最終赤字に。バイトや社員の声は?
中期経営計画“うぬぼれチャレンジ1000”とは?
まず、投資方針では下記4つが掲げられていました。
1:タッチパネル等の店舗運営効率改善へ向けたIT投資
2:たれ工場への投資(大阪工場の改善、第2工場の新設)
3:長期ビジョンである「地方、海外進出」準備
4:店舗安全衛生強化のための既存店の修繕等の投資
まずタッチパネルの導入は、すでに実施されています。ただし、期待したような効果ではなく、2018年7月期第2四半期決算説明会でも説明があった通り「声がけ減少によって追加注文が減り、客単価減」という現象となりました。
2つ目は、意外と知られていないことですが、本社の1階に「たれ工場」があり、各店舗で使うたれが生産されています。次のたれ工場への投資では、2019年7月期末時点で、大阪工場は依然稼働し、人員も5人から増減がないようです。
3つ目の地方・海外進出は「新規出店を一時取りやめ、既存店の回復に注力する」旨の記載があり、準備まで至っていない状況。事実、出店エリアも関西・東海・関東に限定されています。さらに4つ目の既存店の修繕投資は、2019年7月期の決算短信にわずかに記載があるのみで、店舗数などの情報は記載がありませんでした。
したがって、公開情報ベースで実現したと明確に言えるのは「タッチパネル導入」のみと言えます。
「自己資本比率40%」財務方針は?
続いて、財務方針には「自己資本比率40%を目安とし、一定の財務健全性を維持する」と記載がありました。こちらは40%を割り込む時期があるものの、おおむね40%前後で維持できていたため、問題ないと考えられます。
これらを総合すると、自己資本比率は概ね目標通りであるものの、施策の進捗は思わしくなく、あまり芳しい結果ではありません。利益率目標も計画通りには進捗しなかったため、「うぬぼれチャレンジ1000」は期間の途中で取り下げられ 、再度新たな中長期経営計画が提出されました。
新たな中長期経営計画では「経営基盤の再構築」を掲げていますが、今後は「予定していた施策を確実に実行できる体制づくり」を期待したいと思います。予定した施策を確実に実行できて、利益につなげられている企業は例外なく、経営が安定するようになるからです。
そして、鳥貴族の体制改善にあたっては、2021年2月1日をめどに、持株会社体制に移行することが発表されました。この体制変更は「激変する環境のもとでも生き抜く経営体制の構築、新事業の創出、人財開発を行う」ことを目的としており、確かに現在の鳥貴族に必要なものではないかと感じます。ひとまず今後の推移を見守る必要があるでしょう。