鳥貴族、コロナで1億5300万円の最終赤字に。バイトや社員の声は?
なぜ鳥貴族は赤字になったのか?
ただし、純利益については、赤字または黒字である理由に注目する必要があります。とりわけ目立っている2019年7月期通期と、2020年7月期第3四半期(3Q)の損失の理由について、決算短信の記載をもとに検証していきましょう。
2019年7通期の2.8億円の損失については「業績不振店20店舗の撤退、及び、16店舗の業績不振店の撤退を新たに決議したことによる減損損失」(2019年7月期 決算短信より)が主な要因(14億円)です。また、2020年7月の3Qの1.5億円の損失については「営業自粛期間における店舗運営にかかる固定費を特別損失として計上」(2020年7月期 第3四半期決算短信より)したことが主な要因(12億)です。
ただし、純損失としてはそれぞれ2.8億円(2019年7月期)、1.5億円(2020年7月期)にとどまっていたため、各種報道の印象ほど致命的ではなく、2020年7月期に至っては営業自粛の影響がなければ黒字転換が狙えた状況であると言えます。
営業利益は一貫して黒字
鳥貴族は1985年の創業以来、2014年7月に東証ジャスダック上場、2015年東証二部市場変更、2016年東証一部市場変更と、ハイペースで東証一部企業となりました。
上場を目指すフェーズの企業にいた筆者自身の経験則として、上場にあたっては相応の財務基盤と社内体制を整える必要があります。本連載では上場企業を扱うことが多いためにわかりにくくなっていますが、最初の上場のハードルを越えられないケースもあり、上場は決して簡単ではありません。
また、先ほど見た通り、2020年7月期・2019年7月期のいずれも「特別損失」として計上されています。これらを勘案すると、2019年7月期以降、鳥貴族が無為無策で最終赤字を出したとは言い難いです。
しかも、営業利益(本業で出た利益)ベースでみると一貫して黒字でもあります。そのため、2017年9月に掲げられた中期経営計画“うぬぼれチャレンジ1000”(2018年7月期~2021年 7月期)の内容をもとに、何をしようとしていて、実際に何が実現できていたかを検証していきましょう。