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珍しい工事用車両が見られる「鉄道技術展」ルポ。最新技術が一堂に

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総合車両製作所:「sustina」が1000両突破

 JR東日本グループの車両メーカーとして2012年4月に発足した総合車両製作所。前身は東急車輌製造で、ステンレス車両のパイオニアである。現在は第4世代ステンレス車体としてsustina(サスティナ)を2013年に開発。2019年で通算1000両に達した。

鉄道技術展

2種類のステンレス構体を展示

 従来のステンレス車両はスポット溶接だったが、sustinaはレーザー溶接やインナーフレーム構造により、フラットで美しい車体が特徴だ。

鉄道技術展

sustinaを採用したJR東日本E235系と東急電鉄2020系

 職員によると、sustinaにも課題があるそうだ。「うらばなし」ということで、詳細は控えさせていただくが、ツウな人はひと目見れば、容易にわかるだろう。

鉄道技術展

現役の新幹線電車は、すべてアルミ車体(写真はJR西日本W7系)

 ステンレス車体最大の壁は、新幹線電車。東海道新幹線の開業から55年たち、いまだ“ステンレス新幹線”は1両も存在していない。職員によると、「トンネル突入時の気圧変動で、車両が風船のように膨らむ」からだという。スポット溶接、レーザー溶接でも構体がもたないらしい。

 現代鉄道車両のアルミ車体は大型押出形材(ところてんのように押し出すこと)が一般的で、新幹線電車で求められる気密構造が可能に対し、ステンレスは板の大きさが決まっている。革命的な技術開発のない限り、実現しそうもない。モックアップでもいいから、“夢のステンレス新幹線”を見たいものである。

東京メトロのグループ会社「メトロ車両」

鉄道技術展

メトロ車両ブース

 東京メトロのグループ会社で、1984年4月に発足したメトロ車両。東京メトロの車両リニューアルなどを行なう。ブースではアルミ車両用の外板用洗剤「ハイパークリーン」、車体外板のフルラッピングを保護するコーティング剤などを宣伝。特に前者は新製時の初々しさを取り戻す映像が流れた。

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03系は2020年で32年の歴史に幕を閉じる模様

 注目は03系。パネルや映像には「日比谷線03系車両を意義のある形で活用し、ご希望のあったお客様の路線で再出発させるべく本業務を推進しています」と明記。映像では初期車が改造工事を受けている様子が流れた。

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熊本電気鉄道03形

 03系は18メートル車が幸いし、複数の中小私鉄で新たな役割を担うようだ。すでに熊本電気鉄道で1編成が営業運転に就いている。

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