侍ジャパン「プレミア12」初優勝の功労者は?東京五輪で輝くのは…
日本の強みである鉄壁の守備
また守備面でも大きなミスもなく、相手の勢いを止める好守も随所に現れていた。
乱打戦となったスーパーラウンド最終戦、5回表の満塁の場面でライトフライからホームでランナーを刺した場面。タッチアップでのスタートが明らかに遅れた三塁走者を鈴木誠也からの正確な中継プレーでアウトをもぎ取った。
さらに韓国との決勝でも、ランナー1塁のレフトフライの場面でも走者は迷わずタッチアップしたが、レフトを守る近藤健介(日ハム)の送球で進塁を防いでいる。
各国とも好投手が居並び、打線が思うように得点を重ねられなかった中での投手陣の踏ん張り、そして失点に繋がる綻びをみせなかった守備。今大会の日本の最大のストロングポイントとして鉄壁の内外野のディフェンスが挙げられると思う。
国際試合での接戦において、確実な守備をこなすことは勝利の絶対条件だ。大量点はなくともロースコアで勝ち切る、従来の日本の戦い方が改めて証明された大会だったのではないだろうか。
世界一への期待、そして五輪に向けて
大会序盤、関心の低さが伝えられた今大会だったが、やはり、日本の野球が頂点に立つ瞬間を、誰もが渇望していたことは間違いない。
決勝の韓国戦は、立ち見席も観客で溢れかえるほどで、普段はライバルチームであるはずの選手の名前、テーマソングをスタンド全体で歌い、声援を送っていた。
2020年の東京五輪では登録メンバーが今回より4人少ない24人となる。野手、投手とも今回以上に多くの役割をこなせるプレーヤーの選出が見込まれると予想され、さらに多くの選手からの選考が行われる。
辞退者が続出するなか、今大会への出場を決意し偉業を成し遂げたすべてのメンバーには五輪の舞台に挑む権利があるだろう。賛否はあれど、勝ち抜く術を手繰り寄せ、再び日本の野球を「世界一」に引き上げた功績を、彼らの勇気とともに称えたい。
<TEXT/佐藤文孝>