台風で鉄道各社は大慌て…計画運休の混乱はなぜ起きた?
近年、鉄道の計画運休が全国的に浸透しつつある。これにより、途中駅で列車が立往生、乗客や乗務員などの死傷という最悪の事態を避けられる半面、足止めされるデメリットも持つ。
今回の9月8-9日にかけての台風15号の接近に伴い、関東地方や静岡県の鉄道で計画運休を実施したが、誤算も生じた。
2019年8月と9月の計画運休の違い
8月14日、JR西日本は台風10号接近に伴い、翌15日の計画運休を発表。特に山陽新幹線は、新大阪―小倉間を終日運休する措置をとった。これにより、駅や車内ではきっぷを変更する人たち、予定を早めて家路に戻る人たちでごった返した。ニュース映像を見る限り、混乱はしたが、鉄道のダイヤに大きな影響はなかった。
台風10号が当該地域を通過し、8月16日は通常通り1番列車から運行している。同社の計画運休は、偶然にも明るい時間帯に営業運転を終了し、翌日の1番列車から営業運転を再開している。
今回の台風15号に伴うJR東日本などの計画運休は「夕方から翌朝にかけて」のほか、「日曜日から月曜日にかけて」実施された。これまでに例がないものと思われる。それが混乱を招く展開となった。
首都圏の鉄道はなぜ大混乱したのか
①ニュース番組の情報提供不足
JR東日本が計画運休を発表したのは、9月8日の16時頃。ちょうどNHK総合テレビでは、大相撲中継を一時中断し、台風関連のニュースを放送していた。終了直前に入った情報にアナウンサーは、「明日の始発(初電)から8時頃まで運転を見合わせる」ことを視聴者に知らせた。
JR東日本HPを確認したところ、首都圏の多くの路線は8時頃まで運転見合わせを表示したのに対し、常磐線取手以北は9時頃まで、京葉線は10時頃まで、湘南新宿ラインは午前中までなど、報道としては正確性に欠ける。この報じ方では「どの路線も8時頃まで運転見合わせ」と解釈するだろう。
同社HPを見ず、テレビやラジオのニュースなどを確認しながら、8時以降も運転見合わせの駅に着いた人にとっては「なんで?」と思ったのではないだろうか。