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二極化する副業の現実。本業年収200万未満と、1000万以上の事情

コラム

 厚生労働省によるモデル就業規則の改正で、政府が事実上会社員の副業を容認した「副業元年」から1年半。人生100年時代を見据えた政策に呼応し、社員の副業を認める会社が増えています。

副業

※画像はイメージです(以下同じ)

 もともと副業OKのヤフー、最近解禁したDeNA、ソフトバンク、コニカミノルタなど、増えている副業OK企業。リクルートキャリアが全国の大手・中小企業を対象に行なった2018年9月調査によると、副業解禁企業は28.8%に上りました。

 人手不足解消だけでなく、社員のキャリアや人脈形成、従業員満足度向上といった効果が期待されていて、今後は条件つきながら、国家公務員の兼業も容認される見通しです。

副業で検索するユーザーは増加

 株式会社ヴァリューズによる国内ユーザー行動ログからは、「副業」でキーワード検索するユーザーが解禁以来増加傾向にあることがわかります。おおよそ9割前後は何らかの仕事に就いているユーザー(有職者)で、とくに解禁直後の2018年3月は検索ユーザーの97%を占めました。

副業

図表1:「副業」でキーワード検索したユーザー数(PCとスマートフォンの合計)

 有職の検索ユーザーには副業を検討したい被雇用者だけでなく、対策を迫られる人事部門や経営者も含まれるわけですが、いずれにせよ社会全体で関心が高まっているといえそうです。

 なお、本業とそれ以外の仕事を区別しない意味の「兼業」キーワードの検索ユーザーはこの間、月平均約1万人程度で、「副業」に比べると盛りあがっていません。増えているのは、本業を維持しながら別の仕事にも挑みたいというニーズのようです。ダブルワークにとどまらず、いくつもの仕事をこなすパラレルワーカー、マルチワーカーも登場しています。

200万未満は迫られる副業、1000万以上は選ぶ副業

 総務省「就業構造基本調査」によると、2017年時点で、日本の労働人口約6621万人のうち、何らかの副業を持つパラレルワーカーは、4.1%にあたる約268万人。内訳をみると、本業の所得が200万円未満のやや低所得層、そして1000万円以上の高所得層できれいに二極化していて、いずれの層も平均を1ポイント以上上回りました。

 本業所得250万円未満ゾーンのパラレルワーカーの半数以上は「本業の従業上の地位・雇用形態」が「非正規」で、ひとつの仕事では充分な収入を得られないため、やむを得ず副業を迫られているとみられます。

 他方、本業所得1000万円以上の高所得層は、もともと生活に困っていない会社員や経営層が、さらに副業で豊かになっている様子。収入が安定している分、副業収入に過度な期待は少ないと考えられ、好きな仕事を選びやすいのかもしれません。

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図表2:本業の年間所得別副業率(2017年度就業構造基本調査より作成。赤は平均値以上)

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