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炎上やストーカー予防にも…出勤不要の「次世代型オフィス」

ビジネス

コスト削減だけじゃない、メリットも

 バーチャルオフィスが支持されるのは、起業のイニシャルコスト削減以外に「セキュリティやプライバシーを気にする人が増えているから」と、土本氏は分析します。

「ECサイトで起業して特商法で住所を明記したり、自社サイトを立ち上げて会社住所を掲載するのに、自宅住所の公開に不安を感じる女性起業家は多いです。

 男性起業家でも家庭があると奥さんの理解を得られず自宅を登記できないケースもあります。かといって自宅と別で事務所を構えるのは費用が負担になる。そんな方がバーチャルオフィスを選ばれてます」

 バーチャルオフィスで起業することで、ネットで晒されたり、炎上した際のリスクを軽減したり、顧客や取引先の人が突然ストーカー化するといった被害を防ぐメリットもあるとしています。

生き残るビジネスの条件とは

社長

自身もかつてはバーチャルオフィスの利用者だった。その時感じた不満点を改善すべく起業

 累計契約1万件と、数多くの起業家が利用してきた土本氏。さまざまな起業家を見てきた立場から「生き残るビジネスモデル」について言及します。

「やはり固定費、人権費がかからないビジネスが強いです。在庫を持たず、身ひとつで出来るビジネスは生き残りやすい。当社の会員で、アプリ開発で起業して上場企業に17億円でバイアウトした方もいます。身軽な起業はスピード感があるし、仮に失敗しても畳みやすいのがメリットです。あと成功する起業家は、会った時にパッションや人間力があるなと感じますね」

 在庫や固定費のないビジネスを推奨するのは、自身の起業経験を省みてのこと。

「私は当初家具屋で起業したのですが、在庫、展示スペース、販売員の雇用と、固定費の重さに悩まされ続けました。つまり、生き残るビジネスモデルと真逆のことをやってたんですよ(笑)」

サラリーマンこそ起業に挑戦すべき

 副業を解禁する会社も増えるなか、副業や起業に関心のあるサラリーマンへ、土本氏はこうアドバイスします。

「就業規則を確認して問題ないのであれば、ぜひ副業の世界に踏み出してほしい。収入の柱がある状態で起業できるのは会社員の特権です。給料という安定収入がはいってくるうちにトライすればリスクは低いです。

 固定費を抑えて起業すれば、万が一失敗しても取られるものはありません。生きる力が身につけば、誰にも媚びる必要がない。ニュートラルな生き方ができると思います」

 サラリーマンの起業・副業は小さく始めるのが鉄則。スモールビジネスとバーチャルオフィスは相性が良いといえそうです。

<取材・文・撮影/栗林篤>

元IT企業のサラリーマン。株主優待と家賃収入で細々と暮らすフリーライター。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』がある

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