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「老後に2000万円必要」報告とは何だったのか。20代がすべき資産形成は?

コラム

いきなり毎月数万円を貯められる人は少ない

――最後に、今回の報道に対して、横川さんの意見を教えてください

横川:内容は別として、今回の報告書によりたくさんの人が将来のための資産形成に目を向けるきっかけにはなったと思います。

 しかし、20代は、そもそも貯めるお金もない(金融広報中央委員会のデータでは20代の将来のための金融資産の中央値がゼロというデータもある)、投資に回せるお金もないという人も多い世代。そういった現状の中で、こういった発表がなされたからといって、これを受けて老後のために今からいきなり毎月数万円を貯められるという人は正直ほぼいないです。

 また、今は例えば老後年金収入だけで16万円あればやっていけるかもしれないと思っても、そもそも年金をもらうことのできる受給年齢が上がるという話題があったり、実際に年が経つにつれて年金月額が減っています。

 ということは、今後も何か今の仕組みと異なる変更があったり、今の20代が年金をもらう世代になる頃には金額自体がさらに減っているということも大いに考えられます。

――今回の報告書は、その内容を疑問視する声もありますが……。

横川:今回の報告書は証券会社のパンフレットのようだという声もあるし、私もそのように思う部分はあります。また、年金制度は破たんしないとはいえ、それは受給金額が減るから破たんしないというだけであり、決して嬉しいニュースなわけではありません。

 ただ、受け身のままでいても、物価の上昇や増税などにより支払うお金が増え、手元に残るお金が減っていくだけです。

 リスクはあれど少額から始められる投資や、キャッシュレスサービスに伴うポイントなどを新しいサービスをうまく利用するなど、お金を増やすために自分から情報を取りに行き、行動へ移さないといけないということが顕著になってきていると思います。

<構成/シルバー井荻>

1990年、東京生まれ。明治大学法学部卒業後、同大学院へ進学、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)等を取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、お金の知識の啓蒙活動を行う。Twitter(@yokokawakaede)、Instagram(@cae0813)も更新中

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