肥満アイドルの自己プロデュース「私たちは“ぽっちゃり”じゃなくて“デブ”」
デブな私たちならではの世界観を大切に
――YouTubeやライブに繋がる、曲や振り付けも自分たちで考えているんですか?
大橋:曲は歌詞やテンポなどを作ってくださる方に提案して、意見を出しながら完成させていってます。コールの入れやすさだったりアイドルっぽさはもちろんなんですが、歌詞に食べ物や“ダイエット”というフレーズを入れたり、デブな私たちだからこその世界観も大切なので、いろいろと工夫しています。
多田:振り付けも大筋はダンスの先生が決めてくれるんですけど、試しながら変えていきますね。じつは、それには理由があるんですよ。先生がすごく細くてキレイな方なんですが、デブにはできない振り付けもあって。
例えば、腕を交差させてそれぞれの二の腕をつかむといったなにげない動作も、私たちにはやりづらかったりするので、自分たちの見せ方やこなせる部分を考えながら丁寧に作っています。
自分たち発信で“ぽっちゃり”ならぬ“デブ”を公言
――みなさんの活動って、ほぼほぼセルフ・プロデュースなんですね。
橋本:だからこそ自分たちらしさを保てているのかもしれませんね。太っているからこその見え方や意見ってあって、たぶんこれがプロデュースしてくださる方がいて……といった形であれば、なかなか反映できなかっただろうなって。
じつは、コンセプトの根っことして活動で“ぽっちゃり”という言葉を使わないようにしたのも自分たちのアイデアでした。
大橋:私たちは自分たちのことを“デブ”と言い続けているんです。まあ、理由は体型そのままなんですけど(笑)。
世の中の女の子たちはきっと、心のどこかで「やせたい」と思っているだろうし、見本といったら言葉は違うかもしれないですけど、デブとして自分たちを認めれば発信できるものもあると思って。
橋本:たぶん、多くの女の子は自分が“ぽっちゃり”だと思ってるはずだよね。でも、そこで私たちが“ぽっちゃり”という表現を使ってしまったら、きっと反発されてしまうはずで。
それならばいっそ“デブ”と言い切っちゃったほうがよくて、一般的に差別用語とか、いわゆる“言ってはいけない”みたいなフレーズに思われているのを、私たちから変えられればという思いも込めていますね。
多田:自分から言っちゃったほうが、周りの人たちも笑顔になれるしね。YouTubeで動画をアップし始めた頃は「クソデブ」みたいなコメントが来るのも予想していたんですけど、意外と「可愛い」と言ってくださる方も多くて驚きました。